2020 Fiscal Year Research-status Report
いわく言いがたいものの現象学:「フランス現象学」の生成と発展に関する研究
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20K00034
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐野 泰之 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員 (70808857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 智裕 立命館大学, 文学部, 研究員 (00844177)
鈴木 崇志 立命館大学, 文学部, 准教授 (30847819)
樋口 雄哉 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (40823034)
川崎 唯史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90814731)
小川 歩人 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (90850462)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現象学 / フランス現象学 / いわく言いがたいもの / フッサール / メルロ=ポンティ / レヴィナス / デリダ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響で資料収集や研究発表の手段が大幅に制約されたため、当初の計画にあったフランス国立図書館での文献調査は実施することができなかった。しかし、そのような中でもオンライン上で定期的に研究会を重ねつつ、共同研究者各自が本研究課題に関わる研究を進めることができた。 研究会では、フランスにおけるヘーゲル受容に関するアレクサンドル・コイレの論文や、エマニュエル・レヴィナスの『フッサール現象学の直観理論』および『実存の発見』など、フランスにおける現象学受容およびその背景に関わる文献を、共同研究者各自がそれぞれの専門的知見を持ち寄りながら精読することで、フランスにおける現象学受容についての全般的理解を深めるとともに、共同研究者間の研究交流を図った。そこでの討議の成果は、各自の論文・学会発表・書籍に反映されている。 さらに、令和2年度の研究の成果報告の場として、年度末にはワークショップ「いわく言いがたいものの現象学」を開催した。そこでは、メルロ=ポンティに代表されるフランスにおける「実存主義」的な現象学理解の位置づけをジャン・イポリットのヘーゲル論やデリダのフッサール論との関係から多角的に再検討するとともに、そのような現象学理解が有する倫理思想としてのポテンシャルについても議論することができた。これらの討議は今後の本研究の進展にとって非常に有益なものだったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた一部の文献調査は実施することができなかったものの、共同研究者各自が着実に研究を進め、論文・学会発表・書籍などの研究成果を発表することができた。また、研究会やワークショップを通して共同研究者間の研究交流を深めることもできた。それゆえ、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に引き続き、オンライン上で定期的に研究会を重ねながら各自が本研究課題に関わる研究を進めていく。また、合評会やワークショップなど、各自の研究成果について公開で討議する機会を増やし、研究成果の発信にもより意欲的に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響で、予定していた学会出張や文献調査のための海外出張を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。コロナウイルスの感染状況を見定めつつ、可能であれば今年度に予定していた海外出張を次年度に実施する予定である。それが難しい場合には、文献やオンライン研究会のための機材の購入、外部の専門家によるレクチャーの謝金などに予算を当てる予定である。
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Research Products
(12 results)