2021 Fiscal Year Research-status Report
いわく言いがたいものの現象学:「フランス現象学」の生成と発展に関する研究
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20K00034
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐野 泰之 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員 (70808857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 智裕 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 特任研究員 (00844177)
鈴木 崇志 立命館大学, 文学部, 准教授 (30847819)
樋口 雄哉 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (40823034)
川崎 唯史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90814731)
小川 歩人 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (90850462)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現象学 / フランス現象学 / いわく言いがたいもの / フッサール / サルトル / メルロ=ポンティ / レヴィナス / デリダ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響によりフランスでの文献調査の計画は実現できなかったが、そのような中でもオンライン上で定期的に研究会を重ね、共同研究者各自が本研究課題に関わる研究を進めることができた。 年度前半の研究会では、主にジャン=ポール・サルトルの「情動論素描」や「自我の超越」といった初期著作を検討した。それに関連して、パリ大学の関大聡氏をお招きして講演会「「いわく言いがたいもの」としてのイメージ」を実施し、フランスにおける最初期の現象学受容と当時の心理学の関係について討議することができた。年度後半の研究会では、モーリス・メルロ=ポンティの晩年の講義録「今日の哲学」を読みながら、1950年代後半のフランスにおける現象学と文学、精神分析、マルクス主義、ハイデガー等々の関係を検討した。また、メルロ=ポンティが批判した「主知主義」の実相に迫るべく、明治学院大学の山本りりこ氏と筑波大学の猪股無限氏をお招きしてワークショップ「ラニョー、アランとメルロ=ポンティ」を開催し、ラニョー、アランとメルロ=ポンティの関係について議論した。これらの議論の成果は各自の論文・学会発表・書籍に反映されている。 年度末には成果報告会を実施し、研究代表者・分担者計6名のうち4名が「いわく言いがたいもの」をめぐる研究成果を報告した。佐野泰之、樋口雄哉、松田智裕の3名は、ブリス・パラン、ジャン・ヴァール、ジェラール・グラネルといったこれまであまり光の当てられてこなかった思想家との関係からフランス現象学の布置を再検討し、鈴木崇志はベルンハルト・ヴァルデンフェルスがフランス現象学を独自に練り直して構想した「応答倫理学」の内容を紹介しながら、フランス現象学の独自性について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた一部の文献調査は実施することができなかったものの、共同研究者各自が着実に研究を進め、論文・学会発表・書籍などの研究成果を発表することができた。また、研究会やワークショップを通して共同研究者間の研究交流を深めることもできた。それゆえ、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に引き続き、オンライン上で定期的に研究会を重ねながら各自が本研究課題に関わる研究を進めていく。次年度が最終年度となるため、研究の成果発表の機会を増やしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で学会出張や海外渡航が難しくなり、予定より旅費を使用しなかったことによる。次年度使用額はこれまで実施できなかった海外での文献調査等を改めて実施するために使用する予定である。
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Research Products
(15 results)