2022 Fiscal Year Research-status Report
A Critical Study of Anti-natalist Philosophy in Terms of Birth-Affirmation
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20K00042
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 祐美子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (30844170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反出生主義 / 誕生肯定 / モラルラック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、反出生主義を克服するために提唱された誕生肯定の概念について掘り下げた考察を行なった。その内容は以下の通りである。たとえ人生において破断的な出来事があったとしても、それを肯定することは可能である。第一の肯定はサバイバルの肯定である。これはトラウマ的経験をくぐり抜けていまここまでサバイバルしてきたことを肯定することである。第二の肯定はトラウマ的な経験をしたことの肯定である。これは、そのような経験を経ることによって、自分の人生に新たな地平が開かれるなどの新展開が起きることで可能になる肯定である。第三の肯定は、悲劇的な出来事が起きたことの肯定である。その出来事が起きたからこそ、いまここでのポジティブな私の生が可能になったという自覚によって導かれる肯定である。これらの中で、もっとも重要であるのは第一のサバイバルの肯定であるというのが、今年度の研究によって得られた暫定的な結論である。それを得ること自体が大きな達成であり、それを超える第二と第三の肯定は、思わぬ果実として人にもたらされる副産物であるという考え方が妥当である。そして、人生の破断をめぐるこれら三つの人生の肯定が、生まれてきて本当に良かったという誕生肯定とどのように繋がるのかを分析的に考察した。その成果は英語論文"Is It Possible to Say 'Yes' to Traumatic Experiences?: A Philosophical Approach to Human Suffering"として刊行した。今後の課題として、加害者の誕生肯定とは何かという問題が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、順調に研究成果を発表できている。コロナ禍によって海外での研究発表と研究交流をすることができなかったので、次年度にそれを行ないたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年6月にオンラインで開催される第5回「人生の意味の哲学」国際会議にて、加害者にとっての誕生肯定とは何かについて研究発表を行ない、参加者と討議を行なう予定である。その結果を生かす形で、英語論文を執筆して刊行することを目指す。また、アニメイテドペルソナに関する現象学的な研究を継続して、英語論文として発表する予定である。これらの成果発表によって、本研究の当初の目的はほとんどすべて完了することになる。
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Causes of Carryover |
反出生主義および人生の意味の哲学に関する国際学会等に出席して意見交換を行なおうと考えていたが、コロナ禍が収まらず、海外に出張することができなかった。その分が次年度に繰り越された。2023年度はコロナ禍が下火になっているので、海外の会議等に参加して広く意見交換をして、本研究の成果を伝達することとしたい。
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Research Products
(10 results)