2022 Fiscal Year Research-status Report
A feminist study of Rawls's idea of property-owning democracy
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20K00044
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
神島 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60449329)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロールズ / 財産所有の民主制 / 認識的不正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はロールズの「財産所有の民主制」をフェミニスト的視点で考察・展開し、より真なる意味でのすべての人の「平等な自由」の実現を目指す思想と実践を提案するものである。今年度はロールズの「財産所有の民主制」を批判的に検討するための導きの糸として、フリッカーの『認識的不正義』を精読し、理解を深めることができた。また、本研究の開始時から始まったコロナウィルス・パンデミックも収束に向かい海外渡航が容易になったため、7月上旬にはルーマニアで開催されたIVR (国際法哲学・社会哲学会)の第30回大会で"Democratic Justice and Obligations"(「民主的な正義と責務」)というペーパーを口頭発表視し、8月下旬から9月上旬までを用いてハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブに初めて赴き、7箱分の資料を収集し、9月下旬にはベルギーで開催されたHuman Development & Capability Association(人間開発とケイパビリティ学会)の年大会で"Is property-owning democracy good for the capability equality?"(「財産所有の民主制はケイパビリティ平等にとってよいのか」)というペーパーを口頭発表することができた。また、9月末にはオンラインで開催された日本倫理学会の第73回大会ワークショップにて、「〈認識的不正義〉を拓くージェンダー平等へ向けてー」というテーマで報告した。また、本研究の途中経過として、日本語の論文「ジェンダー正義への責任 ロールズ「財産所有のデモクラシー」の可能性」を準備することができた。次年度に論文集に収録され刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の開始時がコロナウィルス・パンデミックの開始時と重なったため、海外渡航しハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブにて資料収集をすることが2年間できなかった。そのため進捗状況はやや遅れているが、3年次にはアーカイブを訪問することができたこと、そして1年間の研究延長が認められたことから、遅れは取り戻せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
4年次には再びハーバード大学図書館のロールズ・アーカイブを訪問し、財産所有の民主制に関連する資料を収集するとともに、3年次に海外学会で発表したペーパー2本に加筆修正を行い投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス・パンデミックによる渡航制限下の遅れを取り戻すため、研究期間を1年間延長させていただきました。
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Research Products
(3 results)