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2020 Fiscal Year Research-status Report

出来事と実在性の現象学に関する日仏共同研究

Research Project

Project/Area Number 20K00046
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

米虫 正巳  関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords出来事 / 実在性 / ドゥルーズ / デリダ / ハイデガー / アンリ / ラリュエル
Outline of Annual Research Achievements

研究開始年度である2020年度は、本研究の中心的テーマである「出来事」と「実在性」について考察を行なうための土台作りをすべく、研究代表者として個人的に研究を進めると共に、国内外の研究協力者たちと連携して共同研究を行なった。
まず「実在性」というテーマに関して、ミシェル・アンリとフランソワ・ラリュエルという二人の哲学者を取り上げ、アンリの「生の現象学」とラリュエルの「非-哲学」を比較対照し、後者がどのような点で前者に依拠しているか、後者がどのような点で前者の困難を回避できているか、そして後者がどのような意味で別の困難を抱え込まざるを得ないかを検討した。その成果に基づき、2020年12月に開催された日本ミシェル・アンリ哲学会第12回大会において「生の現象学と非-哲学ーアンリとラリュエルの交差と分岐」と題した研究発表を行なった。
次に「出来事」というテーマに関して、20世紀以降の哲学史に即してこの概念の重要性を確認すると共に、どのような対象も出来事として理解しようとするフッサールやレヴィナスの哲学、さらに出来事をその本質において捉えようとするハイデガーやデリダやドゥルーズの哲学を踏まえた上で、出来事の必然性と可能性、可能性と不可能性を古代ギリシアに遡って考察し直す必要性を明らかにした。この点に関しては、国内外の研究協力者たちと共に定期的に開催した研究会において Necessite, contingence et (im)possibilite de l'evenement という研究発表を行なった。またこの研究会では「出来事」と「実在性」をめぐって La nature de l'apparaitre, L'effet en question : physique et metaphysique などフランス人を中心とした研究協力者たちによる研究成果が提示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の開始される直前に始まった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、研究計画において予定されていたフランスの研究協力者たちとの共同研究に関して支障が生じた。可能な限りZoomやメール等を通じて頻繁にコミュニケーションを行なうことを試みたが、時差の関係もあって時間的な制約も大きいため、集中的かつ円滑に研究を遂行するという点では、日本あるいはフランスにおける対面での即時的・直接的な研究に及ぶべくもないことは言うまでもなく、こうした想定外のアクシデントにより、研究の進捗に関して遅れが出てしまったことは否めない。しかしながら、それをカバーするために、国内在住の外国人研究者を含めた研究協力者たちとの研究会を、コロナウイルス対策に努力を払いつつ、2020年10月以降定期的に開催することができた。それにより大幅な研究の進捗状況の遅れを招くことは回避できた。また予定していた研究成果の発表に関しては、コロナ禍によりフランスでも日本でも多くの学会大会が延期・中止されたため、当面延期を余儀なくされたものがいくつか生じたが、研究そのものは進展させることができているので、あとは延期された学会大会の再開を待つのみである。

Strategy for Future Research Activity

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により初年度の研究の遂行に関して少なからぬ支障が生じ、コロナ禍による混乱の全面的な収束を待つ必要があることは間違いないとはいえ、その中でも当初の方針に従って研究を遂行する他はない。少なくとも研究代表者個人として研究を進める分に関しては、オンライン開催という形での学会大会が再開してきていることもあり、それほどの支障はないと思われる。問題は海外の研究者との共同研究である。初年度に関してはZoomやメール等を通じて頻繁にコミュニケーションを行なうことを試みたが、やはり時差の関係もあって時間的な制約も大きい。そのため感染症が収束するまで当面の間は、Zoomやメール等の活用を継続することはもちろんだが、同時に、安全面に最大限の注意を払いつつ、国内在住の外国人研究者を含めた研究協力者たちとの定期的な研究会の開催をより増やして、そこでの集中的かつ円滑な研究の遂行を目指し、それにより研究の進捗状況の遅れをカバーすると共に研究のさらなる進展を図りたい。
研究を推進するための計画としては、月1回の頻度で定期的な研究会を開催し、国内在住の研究協力者たちとの集中討議を通じて議論を深めると共に、新型コロナウイルスの感染状況の改善を待ってフランス在住の研究協力者たちとの共同研究を再開し、日本でシンポジウムやセミナーを2回開催する予定である。そしてそれらの成果を踏まえて、日本もしくはフランスの学会大会にて研究発表を行なうことを予定している。

Causes of Carryover

次年度使用が生じたのは、研究の開始される直前に始まった新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、研究計画において予定されていたフランスの研究協力者たちとの共同研究に関して支障が生じたためである。海外から研究者を招聘して共同研究、セミナー、シンポジウム、研究大会などを行なうことができず、また研究代表者がフランスに赴くこともできなかった。さらに参加予定だった国内外の学会がすべて中止ないしは延期されたため、旅費を使用することがまったくできなかった。次年度に関しては、コロナ禍による混乱の全面的な収束を待つ必要があることは間違いないが、可能な限りZoomやメール等の活用を継続しつつ、同時に、安全面に最大限の注意を払いながら、国内在住の外国人研究者を含めた研究協力者たちとの定期的な研究会の開催をより強化して、そこで集中的かつ円滑に研究を遂行できるよう努める。そのための旅費や研究協力者への謝金として次年度使用額を活用する。また新型コロナウイルスの感染状況が改善次第、フランス在住の研究協力者たちとの共同研究を再開し、日本でシンポジウムやセミナーを開催する予定であり、そのための旅費や謝金として次年度使用額を活用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 生の現象学と非-哲学ーアンリとラリュエルの交差と分岐2020

    • Author(s)
      米虫正巳
    • Organizer
      日本ミシェル・アンリ哲学会
  • [Book] 自然の哲学史2021

    • Author(s)
      米虫正巳
    • Total Pages
      478
    • Publisher
      講談社

URL: 

Published: 2021-12-27  

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