2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00046
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
米虫 正巳 関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 出来事 / 実在性 / アンリ / レヴィナス / デュフレンヌ / マルディネ / ドゥルーズ / デリダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も前年度に引き続き、現代フランス現象学に即した「出来事」と「実在性」に関する研究を行なった。フランス現象学としては、主にミシェル・アンリ、エマニュエル・レヴィナス、ミケル・デュフレンヌ、アンリ・マルディネらの哲学に焦点を当て、彼らの残した現象学的考察に含まれる成果を、より広い哲学史の文脈(例えばニーチェからハイデガーに至る哲学史)の中で捉え直すとともに、さらに彼らと同時代の現代フランスの哲学者たち、特にジル・ドゥルーズ、ジルベール・シモンドン、アルベール・ロトマン、アラン・バディウ、フランソワ・ラリュエル、あるいはフランス現象学とも切り離すことのできないジャック・デリダなどの哲学と関係づけ、その射程や可能性、あるいは限界を明らかにしようと努めた。 また日仏共同研究としては、前年度からの新型コロナウイルス感染症の影響により、直接的な共同研究を行なうことが難しかったため、Zoomによる定期的なセミナーを行なうことで、フランスの研究者との継続的な交流を図った。特にニーチェの哲学をめぐるディディエ・フランク氏(パリ・ナンテール大学名誉教授)のセミナー(前期9回、後期8回)をZoomで開催し、参加した他の日仏の研究者たちと共に、ニーチェの言う「神の死」や「永劫回帰」という出来事をめぐって議論を行なうことで、より考察を深めることができた。これらを哲学的な概念としての出来事の一つの範例として捉えることができるならば、そのことは本研究の今後の進展にとっても大きな意味を持つことになる。また他のフランスの研究者たちともZoomやメールを通して研究交流を継続することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度からの新型コロナウイルス感染症の影響により、フランスの研究者との直接的な共同研究を行なうことが難しかったため。Zoomによる定期的なセミナーを行なうことで継続的な交流を図ったが、日仏の時差の関係で、どうしても開催時間に制限が生じてしまうことは避けられない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本研究課題を進めることに変わりはないが、日仏の共同研究に関しては、Zoomによる定期的なセミナーだけではやはり限界があり、十分な研究の推進のためには新型コロナウイルスの終息を待つしかない。そのため、もし新型コロナウイルスが終息した場合には、フランスあるいは日本にて、シンポジウム、研究会、セミナーなどを直接対面で開催することによって共同研究を進め、本研究の最終的な仕上げを行なうつもりであるが、終息にさらに時間がかかることになった場合には、研究期間の延長も考慮に入れて研究を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していたフランスの研究者たちとの研究交流が制限されたため、次年度使用額が生じることになった。もし新型コロナウイルスが終息した場合には、フランスあるいは日本にて、シンポジウム、研究会、セミナーなどを直接対面で開催することによって共同研究を進めるとともに、研究成果の発表のための国内あるいは海外での学会出張を行なう予定であり、そのための費用として、今年度の使用額と併せて使用することによって、本研究の最終的な仕上げを行なうつもりである。
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