2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K00046
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
米虫 正巳 関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 出来事 / 実在性 / フランス現象学 / 現代フランス哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はこれまでの研究期間内に行なうことができず残された問題に取り組むとともに、研究期間全体を通して得られた成果を全体として総合することを目的とした。 まず残された問題として、フランス哲学において文学作品がどのように引用され活用されているのか、その諸相を調査することを通して、「出来事」と「実在性」という二つの概念に関して、文学作品においてそれらが表現される仕方に焦点を当てることを通じて、哲学的な観点から考察を行なった。具体的には現代フランス現象学、とりわけミシェル・アンリ、ジャン=ルイ・クレティアン、アンリ・マルディネなどの現象学において引用されているカフカやリルケらの文学作品で現われる出来事と実在性の表現を検討することで、出来事と実在性についての現象学的研究の新たな可能性を探った。 次に研究期間全体を通して得られた成果の総合として、現代フランス現象学の観点から行なった出来事と実在性の概念をめぐる探究を、それ以外の現代フランス哲学の観点から行なった探究と比較対照し、両者を総合することを通して、出来事と実在性についての新たな考え方の可能性を探求した。具体的には、現代フランス現象学としては前述のアンリ、クレティアン、マルディネに加え、エマニュエル・レヴィナス、ジャン=リュック・マリオン、ミケル・デュフレンヌ、それ以外の現代フランス哲学としてはジル・ドゥルーズ、アラン・バディウ、フランソワ・ラリュエル、そして双方にまたがるものとしてジャック・デリダの哲学を取り上げ、これらの哲学における出来事と実在性の概念を詳細に検討しつつ、その新たな考え方の可能性を明確なものとするよう努めた。
|