2021 Fiscal Year Research-status Report
明清期浙江寧紹地域における学知の転換-劉宗周・邵廷采・全祖望・章学誠-
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20K00050
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
早坂 俊廣 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (10259963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 邵廷采 / 全祖望 / 章学誠 / 劉宗周 / 明清期寧紹地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明清期寧波・紹興地域に視座を据え、「学んで聖人と為る」ことを目指していた「宋明理学」(哲学)から如何にして「実事求是」の学問(歴史学)が生み出されてきたのかを、劉宗周(1578~1645)・黄宗羲(1610~1695)・邵廷采(1648~1711)・全祖望(1705~1755)・章学誠(1738~1801)ら同地域の思想家に即して分析すること、さらにそのような分析を通して中国近世における学知(学問を貫くディシプリン/パラダイム)のあり方を再考することを目指している。本年度は、邵廷采の思想を本格的に分析するとともに、彼を激しく批判した全祖望の論弁についても改めて整理を行った。さらに、邵廷采を支持した章学誠と梁啓超についても、それぞれの立論に対する分析を行った。以上の成果として、早坂俊廣「邵廷采と全祖望(上)」(『信州大学人文科学論集』 Vol.9(2)、2022年3月)を発表した。この論考は、主に邵廷采の「宋明理学」(哲学)に関わる領域に対する考察であるが、これにより餘姚の姚江書院の知的伝統のなかに邵廷采を位置づけることができた。これは、本研究開始前に実施していた劉宗周研究を展開させた内容と称することもできる。また、その続編となる「邵廷采と全祖望(下)」の執筆にも同時並行的に着手した。こちらについては、邵廷采の「史学」について、具体的な論題に即して全祖望と比較しながら検討するものとなる。この続編を完成させて発表することが喫緊の課題であるが、そちらの見通しが立ったならば、すぐさま章学誠の研究にも着手したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の骨格を成す邵廷采と全祖望について比較検討する論考の前編を公表し、後編の執筆に着手できたため、この点に関しては予想以上の進捗状況と言える。ただ、コロナ禍の影響で海外現地調査も国内出張も実施できていないため、この点については差し引く必要があると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
執筆を開始した「邵廷采と全祖望(下)」を完成させ、紀要雑誌に発表する。また、章学誠の研究にも着手する。コロナ渦が落ち着けば中国浙江省での現地調査を実施するが、基礎的な文献読解が研究の中心を成すことは言うまでもない。
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Causes of Carryover |
コロナ渦で旅費として考えていた予算の一部が未消化となった。今年度は、電子検索ツールである「清代詩文彙編」シリーズを継続的に購入することを計画しているので、今年度予算と合算して使用したい。
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Research Products
(3 results)