2023 Fiscal Year Annual Research Report
明清期浙江寧紹地域における学知の転換-劉宗周・邵廷采・全祖望・章学誠-
Project/Area Number |
20K00050
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
早坂 俊廣 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (10259963)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 明清期寧波・紹興地域 / 劉宗周 / 邵廷采 / 全祖望 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、明清期寧波・紹興地域に視座を据え、「学んで聖人と為る」ことを目指していた「宋明理学」(哲学)から如何にして「実事求是」の学問(歴史学)が生み出されてきたのかを、劉宗周(1578~1645)・黄宗羲(1610~1695)・邵廷采(1648~1711)・全祖望(1705~1755)・章学誠(1738~1801)ら同地域の思想家に即して分析すること、さらにそのような分析を通して中国近世における学知(学問を貫くディシプリン/パラダイム)のあり方を再考することを目指している。最終年度には、呉震氏の講演「陽明後学の研究―回顧と展望」を日本語訳するとともに、浙江省紹興市で開催された国際学会に於いて、晩明紹興の思想家・周汝登に関する研究発表(「周汝登的新安行」)を行った。どちらも、本研究の起点となる晩明思想史を再検討する作業であった。また、中国人研究者の講演を翻訳したことと自ら中国の国際学会で研究発表を行ったことからすれば、国際的な共同研究の推進に寄与することができたとも言えるだろう。 研究期間全体を通じて、晩明紹興の周汝登と劉宗周に対する基礎的な考察を行い、そこから、黄宗羲・邵廷采・全祖望へとつながる地域的/思想史的な磁場(もちろん、そこには「正」の動きもあれば「反」の動きもある)を確認することができた。毛奇齢と章学誠については、論文化はかなわなかったものの、先行研究の整理に着手することができた。研究実施計画はおおむね達成できた、と自己評価している。
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