2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K00052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辛 賢 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70379220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 易学啓蒙 / 朱熹 / 韓邦奇 / 考変占 / 宋代易学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、朱熹の易学について考察を行った。とりわけ朱熹の著述『易学啓蒙』考変占篇を取り上げ、変占の構造を再現し技法的特徴について解明を試みた。『易学啓蒙』考変占篇には、変占を構造化した三十二枚の図面が収められている。それらの三十二枚の図は、六十四卦の各卦の六爻が変化する限り変化する場合の数を想定し、本卦と之卦を一定の規則にしたがって配列したものである。従来の研究では、卦変の変例のみを概括するに止まっていたため、卦変図の詳細な仕組みにおいては判然としないところが多かった。そこで、本研究では、明の韓邦奇の『啓蒙意見』を手がかりに、三十二枚の図面を再構築し、卦変の数列構造を明らかにした。 周知のように、易の筮法は変爻(老陽九・老陰六)を求めて占う。最初筮して得られる卦を本卦と称し、本卦の老陽(九)・老陰(六)の爻が変じて得られる卦を之卦と称す。 たとえば、乾を本卦とした場合、本卦から変じて得られる之卦は、女+后・同人・履・小畜・大有・夬……師・復・坤の順に配列される。その結果、本卦より変じて得られる之卦の場合の数は、合計六十三通りとなる。さらに卦変図は逆さまに反転させてみることができる。その場合、坤卦が本卦に当たり、本卦から変じて得られる之卦は、復・師・謙・豫・比・剥・臨・明夷……履・同人・女+后・乾の六十三卦となる。すなわち、乾卦を本卦とする卦変に加え、坤卦を本卦とする卦変が上下反覆した二重構造をなしているのである。 このように三十二枚の各図は、以上の上下反覆の構造を表しており、三十二図でありながら、事実上、六十四卦の各卦を本卦とする四千九十六卦(64×64=4096)の卦変を組み上げ、万物の変化を占筮上に具現していることが明らかになった。 以上の研究成果については、『大阪大学大学院人文学紀要』第一巻にて公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度中に朱熹の『易学啓蒙』全四篇の検討を完了する予定であったものの、当初の予定よりやや遅れをとっている。
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Strategy for Future Research Activity |
朱熹の『易学啓蒙』に関する分析を完了し、研究成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より研究の進捗が遅れているため、今後の進捗状況にあわせて資料購入等に充当する予定である。
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