2022 Fiscal Year Research-status Report
A Philological Study of the Indian Theories of the Sentence Meaning
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20K00056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片岡 啓 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (60334273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シャーリカナータ / ミーマーンサー / 文意 / 言語哲学 / 意味論 / 聖典解釈学 / クマーリラ / シャーンタラクシタ |
Outline of Annual Research Achievements |
紀元後900年頃に展開するインド言語哲学の展開、その前提に踏み込んだ研究を中心に行った。500年~800年の諸資料を用いた研究成果を発信できた。インドにおける言語哲学の前提として宗教的権威の問題がある。仏陀の説法や全知を論題とする聖典解釈学と仏教との論争、その理論展開を、クマーリラ、マンダナ、シャーンタラクシタといった、シャーリカナータに先行する諸学匠を中心に跡付けた。研究室の雑誌、九大の紀要、東大の紀要、全国誌に個別論文を英文で公刊している。また、国際ダルマキールティ学会において発表するとともに、国際サンスクリット学会においては、海外に散らばる聖典解釈学の研究仲間とパネルを開催し、自身は、マンダナの『命令の分析』を主資料として「全知のアポリア」を取り上げた。またウィーンの研究所から出た論文集にも成果を公表できた。さらにRoutledgeのハンドブックにも成果を公表している。北海道大学では、聖典解釈学の基礎的な理論綱要書『聖典解釈学概説』の研究会を講師としてリードし、テキストと和訳(本邦未訳)を準備した。また、シャーリカナータの文意論に密接に関係する議論として、ヴェーダ学習命令が問題となる。プラバーカラ、ウンベーカ、シャーリカナータの議論を整理し、一部は写本に遡りチェックした。最終成果に繋げる準備を整えることができた。シャーリカナータの影響を受けた直後の学匠として重要であるスチャリタミシュラについては、ウィーンにおける研究会において、仏教との論争を中心に緻密に読み解く機会を持つことができた。シャーリカナータと同時代と目されるニヤーヤ学派の学匠であるジャヤンタについては、筑波大学での研究会で、これまでの研究を俯瞰する発表を行うとともに、討論術という視点から言語哲学の一展開を見直すことができた。年度内の成果は、英語論文6本の公刊、2本の国際学会発表、1本の全国学会発表である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため延期となっていた二つの国際学会が、ようやく2022年度に開催された。8月の国際ダルマキールティ学会と、1月の国際サンスクリット学会である。いずれも発表を行うことができた。また、北海道大学で9月に行われた研究会では、聖典解釈学の綱要書の和訳を準備するとともに、対面・オンラインの双方で多くの国内の若手を指導し、聖典解釈学ミーマーンサーが持つ言語哲学の可能性について、本邦における普及に努めることができた。また、国内のみならず、海外に向けても、英語論文6本の成果を発信することができた。昨年度からの発展として、シャーリカナータの著作については、文意論と密接に関連する章について、その前史となる他学匠の諸著作も含め、テキストの構造分析など、緻密な読解作業を進めることができた。オーストリア科学アカデミー研究員である斉藤茜とは、シャーリカナータの『文意論』におけるマンダナミシュラの平行箇所について、10月にウィーンで行われた研究会において、細かい跡付け作業を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
シャーリカナータの文意論の前史・後史については、諸学匠の理論展開を引き続き多角的に追っていく予定である。すなわち、クマーリラ、マンダナ、ウンベーカ、スチャリタといった聖典解釈学者の諸著作や、ニヤーヤ学派のジャヤンタの主著『論理の花房』である。同時に、言語哲学の前提となる宗教的権威や聖典の問題については、仏教との論争箇所について、細かい跡付け作業を引き続き行う必要があると考える。また、前年度に明らかとなった『プラカラナ・パンチカー』の諸章構成の問題について、新たな視点から、関連する諸章の位置付けや役割を見直す必要を感じている。特に、ヴェーダ学習命令についての諸学匠の解釈は、文意論の応用問題として重要であり、聖典解釈学史再構成のひとつの試金石となると考えている。クマーリラ以後の展開、すなわち、プラバーカラ、ウンベーカ、シャーリカナータにおける展開を追っていく予定である。
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Causes of Carryover |
ソウルで行われる国際学会に出張予定であったが、コロナ罹患の疑いがあったため、急遽、オンライン参加としたことで、航空券代など、当初予定していた額よりも支出が少なくなったため。2023年度に投稿予定の論文の英語および内容について、京都大学のSomdev Vasudeva教授に対面で教示を乞う予定であり、そのための出張旅費の一部として、当該助成金を使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Book] The Routledge Handbook of Indian Buddhist Philosophy2022
Author(s)
William Edelglass, Pierre-Julien Harter, Sara McClintock (eds.), Vincent Eltschinger, Roger R. Jackson, Peter Skilling, Tom J.F. Tillemans, Jowita Kramer, Jonathan C. Gold, Kei Kataoka, John Taber, Chakravarthi Ram-Prasad, Ching Keng, Mattia Salvini, Serena Saccone
Total Pages
703
Publisher
Rougledge
ISBN
9781138492257
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[Book] Transmission and Tradition: Quotations, Paraphrases and Allusions in Texts on Indian Philosophy2022
Author(s)
Ernst Prets (ed.), Ernst Steinkellner, Horst Lasic, Shinya Moriyama, Yasutaka Muroya, Toshikazu Watanabe, Kei Kataoka, Taisei Shida, Hideyo Ogawa, Christian Ferstl
Total Pages
296
Publisher
Austrian Academy of Sciences Press
ISBN
9783700189176