2021 Fiscal Year Research-status Report
社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育とその現在への影響:公共宗教論再考
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20K00076
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 久子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (10646285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 現代史 / 東欧史 / 宗教社会学 / 教育社会学 / 歴史社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、応募時において、公的記録を中心とする一次資料の分析、1940~50年代生まれのインフォーマントへの聞き取り調査を中心とする実証研究を目指していたが、コロナ禍により初年次に次いで、2年次においても現地調査を実施することができなかった。この影響から、研究手法の大幅な変更を余儀なくされている。 まず文献研究の範囲を拡大し、当初計画では、教育社会学における学校外教育や、社会主義圏での余暇政策についての研究を参照する予定であったところ、19世紀から現在にいたる英国、西ドイツ、北欧、日本などを対象とする先行研究を渉猟するなど、時代・地域を拡大した比較研究を実施した。 また、過去に収集した一次資料(画像)を使用し、社会主義期の余暇政策や、子どもの生活世界に焦点を当てた資料の解読を行った。本調査の成果については、2022年4月に口頭報告を行い、その後、論文の形での発表を予定している。同時に、オンライン公開されている1940~50年代の新聞記事の一部や、過去にマイクロフィルムで収集していた新聞・雑誌記事をデジタル化したもの等を利用し、家庭教育や社会主義期の家族のありようについての当時のメディアの言説を扱う研究に着手した。 このほか、アウトリーチ活動として、ポーランドにおける博物館政策や史跡の保護活動を題材に、戦後ポーランドの歴史観について解説した小論文(図書所収)および、百科事典の中項目3項目を執筆し、2021年度中に公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画において、公的記録を中心とする一次資料の分析、関係者への聞き取り調査による実証研究を目指していたため、コロナ禍の影響によって現地に渡航できないことで、当初計画の進捗には大きな影響が出ている。 他方で、昨年度半ばより、研究の方向性をミクロな実証研究から、マクロな比較研究へと拡大する方向にシフトしたほか、今年度中には、新聞・雑誌等を用いて調査範囲も拡大しており、予定外の方向ではあるが研究を展開することができている。 これらのことから、全体としては「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中の現地渡航と資料収集を実現し、当初計画に沿った研究の実施を第一の選択肢としたい。同時に、複製資料の購入等、渡航が不可能になった場合の代替案についても、検討する必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
本研究課題においては現地調査の比重が大きかったことから、コロナ禍の影響により調査地に渡航できない状況に陥ったことで、初年次に多額の未使用金が発生した。2年目にはメディア関連の複製資料の購入代、マイクロフィルムのデジタル化等、調査費用を資料の購入費に充てることで、予算の全額を執行したものの、初年次の旅費の繰り越し分がそのまま残った形となった。 この費用については、コロナ禍の収束状況によって計画していた渡航期間・回数を調整し、旅費として使用するか、または資料の複製・取り寄せを行う費用に充当するか、より効果的な方法を選択する予定である。
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Research Products
(2 results)