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2021 Fiscal Year Research-status Report

International Comparative Study of Radical Christian Thought in 1960s-1970s

Research Project

Project/Area Number 20K00078
Research InstitutionToyo University

Principal Investigator

村山 由美  東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (70364966)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords急進的キリスト教 / 田川建三 / 高尾利数 / 大学紛争 / マルクス主義
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、それぞれ東京基督教大学、関東学院大学の大学紛争に主体的に関与した田川建三と高尾利数のテクストを検討し、彼らのマルクス受容の分析を行った。
田川建三の宗教批判、政治批判の根底に、カール・マルクスの思想がある。田川は宗教が現実から乖離した観念論として、現実の人間の生のあり方を抱え込もうとしてくることを批判的に指摘する。その批判は、キリスト教だけではなく、教条主義的マルクス主義や「民衆」「大衆」概念を理想化する知識人にも向けられていった。
また、田川建三氏本人への聞き取りも行い、1960年代後半の彼自身の言論活動の背景、また国際基督教大学闘争の評価についてなど、当事者としての証言を得ることができた。主著『イエスという男』をはじめとする田川の著作に一貫した問題意識が、この時期の経験と密接に結びついていることを理解することができた。
一方、高尾利数は欧米のキリスト教とマルクス主義の対話についての著作を紹介し、日本でもその対話を展開しようとした。高尾はマルクス主義との出会いが、単にキリスト者の変革をもたらすだけでなく、キリスト教的信仰そのものの根底的自己吟味へと結びつかなければならないと主張した。
田川と高尾のキリスト教理解、またマルクス理解を対比させると、1960年代後半の日本における急進的キリスト教思想の振れ幅が浮かび上がってくる。同じくキリスト教系大学の大学紛争に関与したといっても、両者を単純にひとくくりにすることはできない。彼らは各々の実存的立場や思想的系譜に応じて、異なった角度からキリスト教的なものに向きあい、微妙だが重要な差異をともなった思想を生み出していったのである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、本年度に実施予定であった、イギリスにおける資料調査を実施することができなかった。そのため、国際的な比較の視座にもとづく分析に向けての資料収集作業がやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

前年度に実施できなかった海外における急進的キリスト教の動向をめぐる資料調査を3年目に行うことで、海外の事例との比較をふまえた、日本の急進的キリスト教思想の展開を明らかにすることをめざしている。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの感染拡大により、海外での資料調査が不可能となり、また国内での資料調査にも大きな制限が生まれたため、次年度に当該の調査を延期することとなった。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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