2022 Fiscal Year Research-status Report
維新期における東本願寺の破邪論とキリシタン―樋口龍温の未公開史料の分析と公開―
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20K00082
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| Research Institution | Otani University |
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Principal Investigator |
狭間 芳樹 大谷大学, 真宗総合研究所, 特別研究員 (80588046)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 樋口龍温 / 安藤劉太郎 / 関信三 / 松本白華 / キリシタン / 護法場 / 東本願寺 / 破邪 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は幕末維新期の仏教界において、当時としてはきわめて特異とも言える独自のキリスト教研究をおこなった樋口龍温（1800-1885）が、かつて住職を務めた真宗大谷派の圓光寺（京都市）で発見された史料の分析と公開とを課題としており、未公開史料のうち書簡類については、すでにその翻刻が完了しつつある。
そして圓光寺で発見された漢訳聖書については『闢邪護法策』をはじめとした樋口による破邪書の研究を通して、また樋口がキリスト教について講じた東本願寺の破邪僧養成機関「護法場」については大谷大学図書館に所蔵されている『護法場規定並規則』や『上首寮日記』などの史料をもとにその分析を進めている。
護法場でキリスト教を学び、実際にキリシタンと対峙した破邪僧に関する研究としては、その後、東本願寺から離れ、幼稚園教育に専心するなかでキリスト教と関わった安藤劉太郎が還俗するに至った背景や思想的経緯を考察し、その研究成果を「アジア・キリスト教・多元性」研究会（2022年10月）や近代親鸞教学研究会（2023年3月）において公表した。
そのほか維新期の北陸に流配された浦上キリシタンへの説諭をおこなった破邪僧のひとり、松本白華が住職を務めた本誓寺（石川県松任市）蔵の資料が移管されている松任市立図書館に赴いて「白華文庫」の調査をおこなった結果、松本が収集した複数の聖書が確認でき、キリスト教教義のどの部分に松本がとりわけ関心を抱いたのかといったことを明らかにする糸口を得た。これは樋口のキリスト教観を浮かびあがらせるものでもある。
なお、こうした成果の一端を広く発信する目的から、国外の学会（韓国日本思想史学会）で、また研究者以外に向けても一般聴衆向けの講演などもおこなった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に引きつづき、樋口龍温に関する未公開史料のうち書簡類については研究協力者の東舘紹見氏（大谷大学）、松金直美氏（真宗大谷派教学研究所）、下村優佳氏（大谷大学大学院）、メナチェ・アンドレス氏（京都大学大学院）らと毎月の研究会を大谷大学で実施し、翻刻が完了しつつあるほか、本研究を推進するにあたり必要となる分析のための研究会や意見交換会を、定期的にオンライン形式でおこなった。
一方で、本研究の完了に向け、2022年度に開催する計画であったワークショップや公開シンポジウムなどについては初年度以来の新型コロナウィルス感染症による影響により、研究計画に遅延が生じ、本研究の到達目標に至らなかったことなどから開催自体を見送ることになった。
したがって全体の進捗状況としては、やや遅れている。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の精査を目的とした研究会を、引きつづき定期的に開催することにより、そこで明らかになった成果をキリスト教史学会や日本思想史学会、また「アジア・キリスト教・多元性」研究会をはじめとした研究会で報告するとともに学術論文として公表する。
また、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、先送りになるなど滞ってきた調査を適宜実施し、これまでの遅れを取り戻しながら研究を推進したい。
最終年度にあたり、研究成果全体の報告を趣旨とする公開シンポジウムを開催するとともに、本研究の主課題である樋口龍温にまつわる未公開史料の公開（書籍としての出版）をおこなうことを予定している。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響を受けたことにより研究計画に遅延が生じ、2022年度中に実施する予定であった出張やシンポジウム開催などを見送らざるを得なかった。
そこで、そうした調査ならびに学会出張、また最終年度の成果公開を目的としたシンポジウムやワークショップの開催にまつわる助成金を2023年度に使用することを計画している。
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Research Products
(8 results)
