2020 Fiscal Year Research-status Report
林文慶と近代シンガポール華人社会における「国家と宗教」観および社会進化論の影響
Project/Area Number |
20K00085
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
住家 正芳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60384004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 林文慶 / Lim Boon Keng / 国家と宗教 / シンガポール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、林文慶(1869-1957)の思想を主たる分析対象として、世界的に流行した社会進化論の影響のもと、シンガポール華人社会において宗教思想および国家観がどのように展開したのかを明らかにしようとするものである。本研究の初年度である2020年度はシンガポールにおいて資料を収集したうえで研究を進める予定であったが、コロナ禍のためシンガポールへ赴くことができず、国内にて収集可能な資料の分析を進めた。そのため、もっぱら二次資料の整理、分析にとどまらざるを得なかった。具体的な作業としては、まず陳育崧『林文慶伝』、李元瑾『林文慶的思想』、同『東西文化的撞撃与新華知識分子的三種回応:邱菽園、林文慶、宋旺相的比較研究』、厳春宝『大学校長林文慶』、同『他郷的聖人』、余子侠ほか主編『自強自足、止于至善:厦門大学校長林文慶』などの諸文献を比較対照することで、林文慶の生涯についての年譜的な事項について整理した。そのうえで、国内で入手できたLim Boon Keng, The Chinese Crisis from Withinや、林文慶(林曦、馮宝儀訳・宮旭東校訳)『戦時講演与随筆集:儒家視域下之世界大戦』などの影印本、およびYan Chunbao ed., Essays Of Lim Boon Keng On Confucianism (With Chinese Translations)のような編集本によって、林文慶の孔子・孔教理解についての分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、当初予定していたシンガポールでの資料収集を実施することができず、すでに入手している資料および国内にて収集可能な資料のみの分析にとどまらざるをえなかった。そのため、当初の研究計画に比して遅延を生じざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
シンガポールおよびアモイでの資料収集が可能となり次第、一次資料を中心とした収集を実施する予定である。しかしながら国外での資料収集が不可能な状況が続くようであれば、本研究の大きなテーマである「国家と宗教」に関する思想、理論的な研究を行うことも検討している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初予定していた国外での資料収集を実施することができなかったため、残額が生じた。国外での資料収集が可能となり次第、国外での資料収集のための旅費として使用する予定である。
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