2021 Fiscal Year Research-status Report
14-15世紀における朝鮮の儒葬受容に関する総合的研究
Project/Area Number |
20K00086
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
篠原 啓方 関西大学, 文学部, 教授 (90512707)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 朝鮮時代 / 15世紀 / 士大夫 / 神道碑 / 墓碑 / 墓制 / 儒葬 / 朱子学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「14-15世紀における朝鮮の儒葬受容に関する総合的研究」の調書に項目として立てた①「墓のデータベース」、②墓制の地上構造・地下構造の把握、③文献と朱子家礼との比較、④碑石様式の変遷について、研究実施状況の概要を以下に述べる。 ①については、前年度に作成した「14世紀末~15世紀の文武高官墓」リストに対し、インターネットや韓国の論文などから追加すべき資料があることを発見し、それらの情報を整理し、リストに加えた。特に地方の士大夫墓に関する情報が増えており、これらの把握、現地調査が必要となった。②は、墓の地上構造に関する前年度の作業(グーグルアースを利用した位置確認)に、新資料を追加した。地下構造については、発掘調査報告書の内容を精査し、図面などの整理を行った。特に埋葬主体部の変化(石室、石槨、木槨、灰隔)に関する内容を重点的に検討した。 ③は、前年度に引き続き、朝鮮で著述された朱子家礼注釈書の墓制関連記事のテキスト化を行ったが、15世紀代の著作が入手できなかった。朝鮮王朝実録や文集など、注釈書以外の文献史料に断片的に登場する記録も、国内で入手できるものについてはおおむね集成し、テキスト化を進めた。④は、神道碑と墓碑の画像データから、様式の変化を検討した。神道碑と亀趺についてはおおむね理解を得たが、墓碑については、新たに情報を得た資料の把握と、先行研究に対する再検討などが必要になった。 以上の作業は、朱子学受容の初期段階において、墓の造成や思想が受容以前に比べどの程度変化しているのかを明らかにするための基礎作業である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.研究遅延の主な原因は、コロナ禍により海外渡航が禁じられ、韓国における現地調査、資料の複写および購入ができなかった点にある。遅延は調査項目として立てた①墓のデータベース作成、②地上構造の把握、③文献調査、④碑石の調査のうち、②、③、④に見られる。それ以外ではおおむね順調である。 2.現時点では韓国での調査が可能であるため、2022年度は海外調査に重点を置き、研究をまとめる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.海外(主に韓国)調査を速やかに行う。また研究機関蔵書・図書館資料のコピー、書籍購入などを現地研究者に依頼して滞在期間中の時間配分をできる限り現地調査に振り向ける。 2.現時点では、現地調査による資料の確保が9割以上可能と判断される。2022年度は研究期間の最終年度であり、後半部は資料の精査に集中する。ウェブ上での公開も準備していく。
|
Causes of Carryover |
海外調査に含まれる旅費および書籍の購入、資料のコピーに関する費用が、コロナ禍により活用できなかったため次年度使用が生じた。2022年度は海外調査が可能であると予想されるため、「8.今後の研究の推進方策」で述べた事前計画を綿密に立てて滞りなく執行していく。
|