2022 Fiscal Year Research-status Report
バルベラック道徳思想のスコットランド啓蒙における継承と展開の研究
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20K00097
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
門 亜樹子 名城大学, 経済学部, 准教授 (20791916)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | バルベラック / アダム・スミス / ジャン=ジャック・ルソー / 娯楽 / 労働 / 余暇 / 自己愛 / 啓蒙 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)昨年度に引き続き、バルベラック『娯楽論』第1編第3章後半の翻訳の修正作業および注記で引用されている諸文献の調査を行った。併せて、自己愛(利己心)の系譜に関する18世紀の一次文献および二次文献の調査・収集を行った。 (2)研究課題に関連する研究報告「ジャン・バルベラック『娯楽論』研究――労働・余暇・自己愛――」(名城大学経済・経営学会研究会、2022年10月20日)を行った。報告の概要は以下の通りである。1.バルベラックの著作『娯楽論』(1709年)の構成および背景、娯楽(jeu)の定義および種類を紹介した。2.娯楽を労働の余暇として肯定するバルベラックの論理(『極楽論』で示された啓示と理性の一致)を提示した。3.『娯楽論』に登場する二種類の自己愛(amour propre)――慈愛の源泉としての自己愛(「残酷な娯楽」の一例として取り上げられたロープ・ダンサーとの関連で言及されている)と傲慢の源泉としての自己愛(自己評価論の文脈で言及されている)――に着目し、バルベラックのキリスト教的人間像に啓蒙主義への接近が見られることを指摘した。4.バルベラックの自己愛概念の展開の展望として、ジャン=ジャック・ルソーの『人間不平等起源論』における二種類の自己愛、アダム・スミスの「同人たちへの手紙」(『エディンバラ評論』所収)におけるルソー評、トマス・リードのケイムズ卿宛書簡におけるスミスの共感概念の批評等を取り上げた。 (3)研究課題に関連する事典項目「義務論(キケロからの展開)」(日本18世紀学会、啓蒙思想の百科事典編集委員会編『啓蒙思想の百科事典』丸善出版、2023年1月、202-203ページ)が公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度より所属機関が変更になり、異動の準備および研究環境の変化に伴い、バルベラックの『娯楽論』翻訳の修正作業に遅れが生じた。一方、18世紀の自己愛概念の系譜の研究において必要となる一次文献および二次文献の調査・収集を進めた。全体の進捗状況としては「やや遅れている」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の四年目であり、引き続き『娯楽論』第1編の訳文修正作業を進めてゆく。本年度の研究で示された18世紀の自己愛概念の系譜の展望に基づき、収集した一次文献および二次文献の精読と分析を行う。研究の遂行によって得られた知見を基に、論点の整理に努め、研究成果を論文または著書の形で公表することを考えている。
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Remarks |
日本18世紀学会, 啓蒙思想の百科事典編集委員会 『啓蒙思想の百科事典』丸善出版、2023年1月。「義務論(キケロからの展開)」(202-203ページ)の執筆担当。
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Research Products
(2 results)