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2023 Fiscal Year Annual Research Report

「真実在説」にもとづくプラトン哲学の再検討

Research Project

Project/Area Number 20K00098
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

早瀬 篤  京都大学, 文学研究科, 准教授 (70826768)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsプラトン / イデア論 / 真実在説
Outline of Annual Research Achievements

今年度の主要な研究成果は、プラトンの『クラテュロス』の全体構造を改めて分析し、総合と分割の方法を用いて名前制定の技術を説明する箇所(421c3-427d3)に関して、プラトンが関与するものであることを示す論考を書いたことである。ただしこの成果は、現時点では草稿段階に留まり、出版するには至っていない。
この研究は、プラトンの全体像を素描するという本プロジェクトにおいて、総合と分割の方法を用いて専門的知識を確立するという部分を解明する役割を担う。従来の総合と分割の方法の研究においては、『クラテュロス』はほぼ無視されてきたのに対して、近年この対話篇に関して重要な仕事をなしたF. Ademolloは、この箇所で総合と分割の方法に焦点が当てられることを強調しつつも、そこで説明される名前制定の技術をプラトンは対話篇の最後で放棄すると議論している。本研究では、とくにAdemolloの議論を丁寧に再検討し、彼の議論の問題点を析出することに成功したと思う。そして一部の学者とともに、この箇所で説明される名前制定の技術にプラトンが関与しているという方向での議論を組み立てるところまで進んだ。(今後、もう少し、他の研究者との意見交換をすることで、この議論に改善の余地があるのかを検討する時間をとりたいと考えている。)
私は、この研究成果によって以下のような見通しを得ることができたと考える。しばしばプラトンの哲学は中期のイデア論的著作から後期の総合と分割の方法へと展開し、そこで方法論的な転換点を迎えたと考えられている。これに対して、私は初期著作(『クラテュロス』は文体統計学的に初期著作に含まれる)ですでに総合と分割の方法を用いた専門的知識を獲得するための方法が提示され、しかもプラトンは後期著作と同じようにそれに関与しており、この点でプラトンの哲学的立脚点は代わっていないのである。

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Published: 2024-12-25  

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