2022 Fiscal Year Research-status Report
古代末期におけるHumanitas概念の「革新」についての思想史的研究
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20K00099
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
出村 和彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 特命教授 (30237028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アウグスティヌス / 人文学 / humanitas / 罪 / ハンセン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古代末期におけるhumanitas概念を、古典とキリスト教の両方の原典に基づいて思想史的に解明することを目的とする。古典のキケロ(前1世紀)から 始め、ラテン教父たち、とりわけアウグスティヌス(354-430)における人間の弱さや罪を見つめるhumanitas概念の革新についての精査を通じて、古代末期の源 流思想から人類共通のhumanitas概念を洗い出すものである。 本年度も、最新の研究状況をフォローアップし、様々な資料を目配りして検討すべき資料の補充を図った。特にラテン教父ヒラリウスの研究に考察範囲を広げてここを研究進展の新たな突破口とすべくに、その資料も集めた。ただし、コロナ禍により、海外に出張して資料を直接手に取って検討したり対面での討議は滞った。 『神の国』第11巻から14巻テクストを精査し、原初の人間を(女と男の)「人間たち」という複数形で一貫して見据えるアウグスティヌス の「革新的」な人間観 を確認し、その成果を「楽園の人間学」というタイトルでの前年度の口頭発表を基に、「心」の人間学の研究構想を深めた。 アウグスティヌスに至るラテン教父の思想系譜を再検討し、特にポワティエのヒラリウスとの関係を精査した。これは新版「キリスト教大辞典」のヒラリウスの項目として公刊される予定である。これを踏まえて、「欲求と意志と心の癒し」という観点からギリシア哲学からアウグスティヌスへの展開を考察するシンポジウムや国際学会発表を準備した。 また、ハンセン病者の生き様から浮かび上がる「哲学」にも光を当てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19感染症の広がりがなかなか収束せず、参加を予定ていたシンガポールでの国際学会が突然も延期されて、思うように出張もできなかったため。ただオンラインによる研究交流も取り入れて事態は改善しつつとはいえ、こちら側の新たな資料の読み直しに予想外に時間がかかっているので、やはり研究課題の完結に向けてはやや遅れている言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度末まで課題研究期間を延長したことにより、研究交流の停滞はできる限りオンラインを活用する等で解消して、通常に近い形での研究推進へ戻す工夫をしつつ、手元にこれまで集めた資料を活用して、その 読解や分析の作業により集中する。さらに、国内でのセミナーと昨年延期された国際学会での成果の発表を実現し、最終年度の研究のまとめを図る。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染症拡大のパンデミック状況で、当初予定していた国際学会の出席が全くできなかったので繰越が生じた。やや遅れている課題研究の完成に向けて23年末まで研究期間を延長したため最終年度の研究必要経費として使用する分が繰り越された。
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