2020 Fiscal Year Research-status Report
近代社会の能力評価と芸術的才能をめぐる優生学と障害の美学に関する思想史研究
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20K00106
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
池亀 直子 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (10359698)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 能力評価 / 天才 / 独創性 / 優生思想 / 新マルサス主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近代社会における人間の能力評価における社会的排除と社会的包摂の問題を、障害、生産性、芸術的才能、優生思想などのキーワードから明らかにしていく芸術教育思想史研究である。 期間中に、英国における障害と芸術的才能を中心とする能力の評価、英国の断種法の展開と優生思想の教育政策への影響、日本の学校教育、芸術教育における優生思想の影響等について検討し、社会的排除から社会的包摂に向かう「障害の美学」ないし「美的人間学」の展望を見出すことを予定している。 研究の初年度にあたる2020年度は英国に渡航し、英国における芸術的才能を中心とする能力評価と断種法の展開について史料・資料を収集し内容を分析する予定であったが、COVID-19の影響で2019年度完了の科研費研究の成果公開が遅れ、さらに8月に予定した海外渡航が不可能となったため、研究計画を変更して次の2点の成果を論文として公表した。 1.日本の学校教育・芸術教育における優生思想の影響について、COVID-19の影響で公開が遅れた前年度完了の科研費研究成果も活用しつつ、英国と日本における優生学運動における芸術的天才の扱いを雑誌の記述をもとに分析した。また日本の優生学運動に見られた教育病理学における「優等児」「低能児・劣等児」の評価が学校教育に与える影響から業績主義の能力評価において障害児・障害者が排除されていく問題を見出した。 2.国内で入手可能な資料に基づき、英国の断種法に至る前段階の19世紀における能力評価とマルサス主義について考察を行い、日本の学校教育に見られる「教育的マルサス主義」のルーツを遡り、マルサスの教育思想とその影響について、コールリッジの道徳哲学、道徳教育論との比較から考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で英国での資料収集および未公刊草稿等の撮影が行えないために予定した資料が入手できず、当初計画を変更し国内で入手可能な資料を中心に研究を実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
英国における障害と芸術的才能を中心とする能力の評価、英国の断種法の展開と優生思想の教育政策への影響に関し、国内で入手不可能な資料については海外渡航が可能になり次第収集を行うべく調整する。 渡航の見通しが立たない場合は、引き続き国内で入手可能な資料の収集および現地情報の収集に努める。また、旅費の一部を通信運搬費に流用し、インターネットや郵送によって入手可能な資料を可能な限り入手することとする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響による海外渡航の中止により、海外旅費は次年度使用となった。海外渡航が可能となり次第イギリスへの渡航費、資料収集にかかる諸費としての使用を計画する。
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Research Products
(2 results)