2023 Fiscal Year Annual Research Report
摂関期・院政期僧俗の呉越・北宋との相互交流と思想的影響
Project/Area Number |
20K00113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 摂関期・院政期 / 呉越・北宋 / 日中相互文化交流 / 源清 / 源信 / 天台本覚思想 / 慶滋保胤 / 『心性罪福因縁集』 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の平安時代中後期、すなわち摂関期・院政期の僧侶と、浙江地方を中心とする呉越・北宋の仏教界の思想・文化的交流、そして文人貴族の対外認識について、統一的に把握し闡明することを目的として実施した。 令和5年度は、新型コロナ禍の終熄にともない、中国との交流が再開したため、国際会議を目的とする渡航が可能となった。これにともない、本課題に関連して中国で5回の講演を行った。具体的には、以下の事業を実施した。(1)永観『往生拾因』と撰者未詳の『心性罪福因縁集』について、前年度に続いて大学院生とともに出典調査・訳註を行った。ともに3年以内に訳註を出版する予定。(2)遣隋使を派遣した聖徳太子に関する、龍谷大学世界仏教文化研究センター学術シンポジウムで講演した。(3)明代の仏伝『釈氏源流』について、説話文学会大会で発表した。(4)許渾『丁卯集』と平安朝漢文学の受容について、北京大学における国際会議で発表した。(5)西明寺道宣と阿育王塔伝承について、浙江工商大学・北海学園大学・清華大学において講演を行った。(6)浙江工商大学東亜文化研究院と本科研との共催で「佛教と古代東亜世界」会議を行った。(7)清華大学で発表した本課題に関するテーマで、論文・訳註を執筆した。(8)日本・中国各地で実地踏査を行い、博物館の特別展等を参看した。 本研究では、摂関期・院政期の、仏教・対外認識・文学表現を、同一の視点から分析することによって、従来指摘されていない日本思想の新たな本質に迫ることを目指し、一定の成果を挙げた。また、中国の国家社会科学基金重点項目「古代中日佛教外交研究」(浙江工商大学東亜研究院院長・江静代表)とも連動させ、グローバルな視点から研究を推進することができた。
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