2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00122
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
永由 徳夫 群馬大学, 教育学部, 教授 (30557434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 書論 / 書道史 / 書学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「近世書論を基盤とする「日本書論史」の展開」は、近世において、「日本書論史」が書道の歴史の中で、どのような展開を見せるかを考究するものである。この研究は、平成29年度~31年度の科研費基盤研究(C)「中・近世書論を基盤とする「日本書論史」の構築」(課題番号:17K02275)を踏まえ、より「近世書論」を重点的に調査することを目的とする。 本研究の柱の一つとして、「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」を課題として据えている。この課題を解明するためには、〈唐様書論〉の体系化に向けて、訓読・訳出といった基礎的作業を行うことが必須である。 令和2年度は、細井広沢の『観鵞百譚』に焦点を当て、「細井広沢『観鵞百譚』解題」(『群馬大学共同教育学部紀要 人文・社会科学編』第70巻)を執筆した。また、中沢雪城『書法往来』(『修美』第136号)、武田実庵『書学鑒要』(『修美』第137号)、大夢狂人『小学ガン囈』(『修美』第138号)等、近世の各書論について、その概要をまとめた。 引き続き、中世から近世への架橋的課題についても取り組み、「「葦手下絵和漢朗詠集」の研究」(『日本教育大学協会全国書道教育部門 研究紀要』第26集)として、理論と実践における相関について言及した。 令和2年度は、遠山記念館・本間美術館・五島美術館・毛利博物館等での熟覧の機会を得た他、主宰する書論書道史研究会では、田能村竹田『竹田荘師友画録』・市河米庵『米庵墨談』の講読を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」を解明すべき課題として据え、〈唐様書論〉の体系化に向けて、訓読・訳出といった基礎的作業を着実に遂行した。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、美術館・博物館等での熟覧の機会を十分に得られない状況に直面した。(3)としたのは、座学においては、一定の成果を挙げられたが、実踏調査が当初予定通りには行えなかったことに因る。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も「近世の〈唐様書論〉における中国書論の受容と展開」を課題として据え、〈唐様書論〉の体系化に向けて、訓読・訳出といった基礎的作業を着実に遂行していく。また、もう一つの課題である「近世書論における〈和様書論〉と〈唐様書論〉との関係性」についても着目していきたい。 社会情勢が平常の段階に戻れば、美術館・博物館等での実踏調査も行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、美術館・博物館等での実踏調査が十分に行えなかった。社会情勢が平常の段階に戻れば、研究旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)