2021 Fiscal Year Research-status Report
The Diffusion of Japanese Arts and Crafts during the Post-Japonism Period: A Comparative Study on the Situation in Japan, France and Vietnam
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20K00129
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
二村 淳子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (20782452)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関口俊吾 / ベトナム近代美術史 / アリックス・エメ / 阮文素 / ファム・クイン / ベトナム絵画 / 日本文化会館 / 岡倉天心 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 日本帝国下、ハノイの日本文化館の研究員であった関口俊吾の活動について研究を行い、その成果を論文「関口俊吾のベトナム:1944年のハノイ,サイゴンでの展覧会を中心に」として発表した(『白百合女子大学研究紀要』第57巻)。論文では、日本・フランス・ベトナムの三国を結ぶ最重要画家でありながらもこれまで看過されてきた関口のハノイとサイゴンにおける個展や、言説、交友関係を整理した。 なお、この研究を遂行するにあたって、 補助金を用いて日本美術の帝国思想に関する書籍を購入した。 2.過去5年間の科研研究(の成果として、原書房から書籍『ベトナム近代美術史』を上梓した。我が国における初のベトナムの美術史の単行書として、多くの図書館に所蔵していただき、研究成果を広く一般に伝えることができた。なお、この研究を遂行するにあたって、ベトナム語文献を検討するために補助金を用いて翻訳を行った。 3.シカゴ大学、パリ=エクス大学が主催するシンポジウムにパネラーとして招待され、仏語で講演を行った。この研究を遂行するにあたって、行った講演の要旨の英語翻訳のために補助金を用いた。 4.フランスから極東へという、美意識の「還流」経路の検証を行っているが、その一環として、1920年代にフランスで出版された日本絵画書籍を調査している。この 研究を遂行するにあたって、京都の日文研図書館を活用し、補助金を旅費にあてた。 5.コロナ禍のためにフランスおよびベトナムの公文書館での調査が叶わず、研究対象を絵画と美術思想のみに限定せず、生活藝術における日仏越交渉も視野に入れることにした。工藝や飲食の書籍に関する書籍を購入した。これに関しては近く口頭発表の形で公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
去年と同様、新型コロナウィルスの影響により、渡航が叶わず、フランス海外公文書館やベトナムの公文書館に赴いて資料を調査することができなかった。ただし、書籍出版や、国際シンポジウムからの招待など、成果発表に関しては順調に行えたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの収束が見えてこないため、研究計画をやや修正した。 本来であれば最終年度に行うべきなのだが、現時点での成果をまとめ、公表をしていく。 また、今年度こそは夏に渡航して資料収集をする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、図書館・資料館等への文献調査旅行が実施できなかったために次年度使用額が生じてしまった。次年度使用額に関しては、2022年度の調査旅行費用としてあてたい。
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