2022 Fiscal Year Research-status Report
南アジアのポリフォニー民謡に関する音楽民族学研究:インド・マニプル州ナガを中心に
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20K00130
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
岡田 恵美 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (60584216)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インド北東部 / ナガ / ポリフォニー / 民謡 / 山岳民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、インド北東部ナガランド州南部に居住する、モンゴロイド系山岳民族チャケサン・ナガのポリフォニックな伝統歌唱文化を中心に研究を推進した。研究開始時から2年間はコロナ禍でインドでの渡航が叶わなかったが、今年度はインド北東部での現地調査が可能となった。そこで、2022年4月と2022年9月の2回にわたって、現地研究者ヴェサト・テルオ氏(インド・ナガランド芸術大学)と共同でナガランド州ペク県にある農村4箇所において現地調査を実施し、村人の協力のもとで数々の歌唱場面を撮影して映像資料として蓄積することができた。 また、ナガの民謡におけるポリフォニックな音楽構造や歌詞のレパートリー、ナガの農村社会で伝承されている歌の機能と彼らの協働性や環境との相関性に関する論考が、国際伝統ポリフォニー学会(International Research Center for Traditional Polyphony)の国際学術誌に単著論文として掲載された。その他、チャケサン・ナガのポリフォニー民謡「リ」に関して、共同研究者の在籍する現地の芸術大学において大学生や一般を対象としたワークショップを開催し、若者世代への地域の伝統歌唱への興味や関心、普及の活動も精力的に行なった。 日本国内では、『キリスト教文化事典』への事典項目「インドのキリスト教音楽」の執筆や、月刊誌において本研究に関連する記事が2件掲載され、南アジアの共同セミナーにおいても研究成果について1件の口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始時から2年間はコロナ禍で現地調査ができない状態が続いたが、2022年度はインドでの現地調査も可能となり、現地の研究者と共同しながら充実した調査や映像資料の蓄積を推進することができた。 また研究成果に関しても、国際学術誌や現地でのワークショップのほか、日本国内でも記事の掲載やセミナーを通して発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は最終年度となることから、研究成果の発信に注力すると同時に、今後の研究課題の拡大に関しても検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は順調に現地調査ができたものの、研究開始から2年間はコロナ禍で現地渡航ができない期間であったため、主に旅費を中心に次年度使用額が生じている。これに関しては、最終年度の2023年度に精力的に現地調査や研究成果の発信を行うことで充当する。
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