2021 Fiscal Year Research-status Report
田中栄三資料のカタロギングによる新派映画の基盤的研究
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20K00141
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
上田 学 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (80546143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 映画史 / 映画学 / 演劇学 / 芸能史 / 日本文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新派映画という大正期の映画形式について、新劇運動など同時代の日本演劇との結びつきや、中国への輸出といった東アジアの映画史的な連環を、研究代表者が所蔵する田中栄三資料の調査分析を通じて実証的に明らかにすることにある。今年度も前年度に引き続き、田中栄三と日本演劇史、東アジア映画史との関係についての研究を進め、新たな資料の収集に取り組むとともに、資料データベース構築に着手した。また神戸映画資料館で開催された「神戸発掘映画祭2021」(神戸映像アーカイブ実行委員会主催)において、10月22日にプログラム「SPレコードの音で蘇る関西の活弁」を対面・遠隔併用のハイブリッド方式で共催し、ラインハルト・ツェルナー(ボン大学)、湯川史郎(同)、吉原大志(兵庫県立歴史博物館)とともに、ボン大学日本・韓国研究専攻が所蔵する活弁SPレコード「片岡コレクション」に関する研究成果を発表した。さらに新派映画をテーマとする、小川佐和子(北海道大学)との共編著(森話社より2023年刊行予定)に関する研究会を、3月7日に早稲田大学戸山キャンパスで実施した。この研究会で、共編著に寄稿を予定している神山彰(明治大学)、紅野謙介(日本大学)、児玉竜一(早稲田大学)、後藤隆基(同)、斉藤綾子(明治学院大学)、スザンネ・シェアマン(明治大学)、谷口紀枝(日本大学)、田村容子(北海道大学)、土田牧子(共立女子大学)、中村ともえ(静岡大学)の発表および質疑応答を通じて、映画学のみならず、演劇学、音楽学、文学研究の「新派」に関する知見を踏まえた活発な情報交換が実施された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実施できなかった資料調査・研究会出張を、今年度は実施することができたため、有意義な研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究補助者によるカタロギングは、前年度と同様に研究室等における長時間の対面実施が難しく、十分に進められなかったが、研究代表者によるデータベースの構築には着手することができた。次年度はデータベース構築の作業を継続しながらデータを拡充しつつ、研究成果をとりまとめ、本研究のテーマに関する共編著の刊行を実現させる。
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