2021 Fiscal Year Research-status Report
『音楽についての対話』(1000頃) その受容と展開
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20K00146
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
西間木 真 東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (10780380)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 『音楽についての対話』 / 中世写本 / 音楽理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、西洋音楽理論の基礎を確立した『音楽についての対話』を伝える56写本のヴァリアントを精査し、その伝搬の実態を明らかにすることで11-12世紀の音楽理論および音楽教育実践のあり方を検証することを目的とする。今年度も当初予定していた欧米図書館での調査研究が実施できなかったが、複写物を通してこれまでに校合した一次史料のグループ分けを行なった。その結果、イタリア、ドイツ、フランスの三つの系統が、さらにそれぞれ二つのグループに分けられることが明らかになった。二つ以上の異なる系統のsources にさかのぼる史料も複数確認されたほか、フランス中部地方のグループに南イタリア、ベネヴェント写本との直接的なつながりが認められることが分かった。 同時に、『音楽についての対話』に直接的な影響をあたえたと考えられるカロリング時代の音楽教師フクバルドゥスの『音楽』(c. 900)を既存のエディションに基づいて訳出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヨーロッパの図書館での現地調査が実施できなかったため、マイクロフィルムや複写物では読み取ることのできない箇所をオリジナル史料上で確認できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる今年度は、コロナ禍で実施できなかった現地調査を行い、複写物では確認できなかった箇所の確認を行う。これまでに得られた研究成果については、8月末にアテネで開催される国際音楽学会大会において報告し、その発表原稿をもとに『音楽についての対話』の史料についての解説を執筆する。apparat critiqueをまとめ出版の準備を整える。
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