2022 Fiscal Year Research-status Report
冷戦「文化プロパガンダ」再考:国務省教育文化局による文化プログラムの検証を通じて
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20K00147
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
福中 冬子 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (80591130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化政策 / 芸術音楽 / 合衆国 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、合衆国国務省教育文化局 United States Department of the State, Bureau of Educational and Cultural Affairsが、「文化プレゼンテーションCultural Presentations」(1954年から1984年)の一環としてアフリカを除く世界全地域で展開した、芸術音楽(いわゆる「クラシック音楽」)関係のプログラムの検証を通じ、テクノロジーや科学領域の発展における競争や相反する政治イデオロギー間の拮抗として理解されがちな冷戦において芸術、とりわけ音楽に期待された役割を明らかにすることを目的とした。本研究を行う上で、1)「自由」概念の播種という西側冷戦「プロパガンダ」の中心的アジェンダの遂行を目的とした本プログラムの実施に際し、対象国や対象地域の多様な文化・社会状況および政治思想やその傾向が精査され、それに応じで芸術音楽領域の多様なジャンルが戦略的に使い分けられた、そして2)第二次大戦後もとりわけ西ヨーロッパで根強く共有されていた「芸術後進国アメリカ」を巡る認識の大幅な修正が、本プログラムの起案・実践において上記アジェンダと同等の重要性を持った、という2つの仮説を設定した。 ただ、初年度にあたる20年度はコロナ禍で完全に海外渡航が不可能となり、続く21年・22年度も合衆国独自の外国人向け入国規制を受け、現地での資料調査が叶わなかった。これを受け、作業内容を大幅に軌道修正し、1)既刊行の先行研究等の検証、2)限定的ではあるものの、インターネット公開されている一次資料および定期刊行物などの調査、3)本題目をより俯瞰的に捉え直す、「社会における音楽の道具化」というテーマに則った研究へのシフトという3本柱に沿って研究を進めた。当初通りの結果は挙げられなかったものの、3)においては出版にもこぎつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述のとおり、20年度に始まったコロナ禍に伴う日本国および所属大学の渡航制限や各国の入国制限により、当初の研究計画の大きな部分を占めていた合衆国における資料調査(国立公文書館、議会図書館等)が不可能となった。代替作業として、既刊行の先行研究等の講読やオンライン公開されている一次資料や定期刊行物の調査を行ったが、一次資料のほとんどが現地での閲覧のみ可能なため、進捗は思わしくなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
合衆国政府が新たに入国制限を撤廃したことを受け、現地での資料調査が可能となったので、2023年度は繰越しの予算を用いて米国公文書館、議会図書館での調査を行うつもりである。また、10月に出席予定の国際音楽学会東アジア支部大会で、同資料調査の結果に基づいた進捗報告を行い、他の研究者からのフィードバックを得たい。
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Causes of Carryover |
当該科研機関を通じて、主たる研究調査機関が存在する合衆国への入国が叶わなかったので、学会参加(国内1件、国外1件)を除き、旅費が生じなかったため。また付随する費用(現地での資料複写費など)も生じなかった。
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