2023 Fiscal Year Research-status Report
冷戦「文化プロパガンダ」再考:国務省教育文化局による文化プログラムの検証を通じて
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20K00147
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
福中 冬子 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (80591130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 冷戦文化 / 芸術音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はCOVID感染拡大以降、初めて海外渡航が可能となった。ただし、当初予定していた夏の渡航が個人的な理由から不可能となり、授業期間・入試期間が終わってからの渡航となったため、予定よりも短い期間での調査となった。本題目と、2023年度採択の課題とは継続性があるため、当該の資料調査での成果は両者にとって有益となったが、他方、国立公文書館での調査がやはり必要であるため、来年度の課題として残したい。 本年度は当初、渡航の見通しがたっていなかったため、前年度に引き続き、合衆国国務省教育文化局 The United States Department of State, Bureau of Educational and Cultural Affairsが、「文化プレゼンテーションCultural Presentations」(1954年から1984年:別称President's Programs)の一環としてアフリカを除く世界全地域で展開した、芸術音楽(いわゆる「クラ シック音楽」)関係のプログラムに触れている先行研究について網羅的に調査をおこなった。とりわけ、これまでは合衆国国務省によるプログラムのみに焦点を当ててきたが、当該プログラムをより広い文脈から検証する必要性の認識ゆえ、同時期に英国政府が行なった冷戦文化プログラムに関する先行研究の調査を行ったほか、関連事項として、60・70年代を中心に西側で開催された国際音楽祭・。国際音楽講習会に関しても調査を広げた。この研究領域では、多くの研究が著されているわけではないが、Paul Lashmar and James Oliver 1998やTony Shaw 2005、James Chaplan 2000などは、音楽そのものに関する記述は多くないものの、文化冷戦に関する構造が理解できる内容となっており、参考となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やはりCOVID拡大の影響をうけ、渡航が不可能だったことが非常に大きい。本題目は、先行研究の読み込みのみならず、当然ながら多種にわたる一次資料の検証が不可欠なため、23年度採択の題目をあわせ、来年度の渡航においてより多くの資料を検証できるよう努める。
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Strategy for Future Research Activity |
上で述べたとおり、海外渡航が不可能だったため、本課題の進捗は遅れているが、他方、23年度採択分の科研課題が本課題からの継続性をもつため、そちらの課題の調査によりフォーカスをおくことで、本課題へのベネフィットにも通じる。同時に、本年度調査に着手した60年代以降に開催されるに至った国際音楽祭や国際音楽講習会の調査を継続し、戦前から戦後にかけての合衆国における文化政策が、グローバルなシーンにどのような影響を与えたのか、そしてお互いにどのような共作用を生み出したのかを検証する。また現在執筆を依頼されている論文も、間接的に本題目と関係しており、より多角的な視点から本題目に関する成果として結果を残すこととなる。
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Causes of Carryover |
当初より海外渡航期間が短くなったため、予定していた旅費が低くなった。
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