2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00149
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 淳子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40635132)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | スペイン演劇 / トラウマ / スペイン内戦 / フランコの独裁制 / 捕虜収容所 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年7月にオンライン開催された国際演劇学会(International Federation for Theatre Research)にて、本研究で分析対象としている劇作家の一人Juan Carlos Rubioの作品ARIZONAをエコロジカルな観点から分析し、口頭発表した。「負の遺産」を扱う本研究とは異なる視点での作品分析ではあるが、様々な読み方ができることを証明した発表であった。 2021年12月4日-5日に開催された2021年度日本演劇学会研究集会の実行委員長として、≪海外劇作家ビデオ講演:スペイン語圏演劇のドラマの現在≫を企画・運営した。コスタリカとスペインの演劇事情を紹介する企画であり、スペインの劇作家Juan Carlos Rubioの経歴をまとめ、ビデオ講演に字幕をつけて、他の研究者に依頼したコスタリカの劇作家の経歴及びビデオ講演と共に紹介した。本企画の概要および講演録は日本演劇学会刊行の『演劇学論集74号』に掲載される。 2021年12月4日-5日開催の2021年度日本演劇学会研究集会では、「現代スペイン語圏演劇におけるトラウマのドラマ化と Verosimilitud(真実らしさ)の追求」と題したシンポジウムを企画し、アメリカのラティーノ演劇、ウルグアイの演劇、そしてスペインの演劇を比較研究する場を提示した。筆者は本研究における分析対象の一人である劇作家ライラ・リポイの作品2本を扱い、「過去の真実を語るために舞台に上がる幽霊たち ―ライラ・リポイの演劇をとおして―」というタイトルで、スペイン内戦と独裁制、そしてアウシュビッツ捕虜収容所という負の遺産と劇作家がどのように向き合っているのかを分析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
劇作家たちへのインタビューが実現していない。コロナ禍を考慮するならば、書面あるいはオンラインでのインタビューも可能ではある。しかしながら、やはり直接お会いして人間関係を築いたうえで様々な事柄についてインタビューしたいと考えており、あと2年の猶予があるため、スペインへの渡航機会をうかがっていることが理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
可能であれば2023年の3月にはスペインに出向き、劇作家たちへのインタビューを実現したい。その間、研究対象としていている劇作家たちのテキスト分析を進め、できるだけ多くの論文に仕上げたいと考えている。 また、スペインの独裁政権下の検閲についてまとめたものを出版するための執筆も進めていく。
|
Causes of Carryover |
毎年開催される国際演劇学会(International Federation for Theatre Research)がオンライン開催になり、海外出張の必要がなくなったこと、国内においても学会や研究会がすべてオンラインになったため、国内出張もなかったことが理由である。2022年度は国内での学会が対面開催になっているため、出張の必要が出てくる。また、可能であれば2023年3月にスペインに出張し、劇作家へのインタビューを行う予定である。
|
Research Products
(2 results)