2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K00149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 淳子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (40635132)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スペイン演劇 / トラウマ / スペイン内戦 / フランコの独裁制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年3月6日から16日までスペイン、マドリードに赴き、5名の劇作家(ヘスス・カンポス、フアン・カルロス・ルビオ、アルフレド・サンソル、フアン・マヨルガ、パロマ・ペドレロ)と面談し、現在のスペイン演劇の動向や各劇作家が取り組んでいるテーマなどについて知ることができた。またマドリード滞在期間中に8本の演劇作品を鑑賞し、現在スペインにおいて人々に受容されている演劇作品の傾向(テーマ、舞台演出、舞台美術)を探ることができた。 日本演劇協会日本センターが刊行している『国際演劇年鑑2023 Theatre Abroad 』に、「簡素な舞台で言葉、リズム、沈黙が織りなす人間模様」と題して、フアン・カルロス・ルビオの『見知らぬ地で』、アルフレド・サンソルの『すべてのスペイン人を飲み込んだバル』、フアン・マヨルガの『沈黙』、ライラ・リポイの『ティー・ルーム』、カディスを本拠地とする劇団による『荒れ狂う風』の劇評を発表した。 21世紀のスペイン演劇を議論するうえで重要となる独裁政権下の検閲に関しては、アルフォンソ・サストレ作品に対する検閲報告書および関係書類を日本語に翻訳し、大阪大学外国語学部スペイン語部会の紀要に掲載した。加えて、アルフォンソ・サストレと検閲との関係を「スペインの劇作家アルフォンソ・サストレと検閲ー1950年代後半以降の上演許可申請をめぐってー」と題する論文にまとめて、大阪大学大学院人文学研究科が発行する学術雑誌『言語文化研究』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のためにスペインへの出張が叶わず、昨年までは予定通りに進まなかったが、2023年3月にマドリードへの出張が実現し、本研究で扱う劇作家5名と面談できたことは大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
スペイン内戦および独裁制がいかに作品に影響を与えているかに関する劇作家へのインタビュー:劇作家たちは公演シーズン中は多忙であるため2023年3月の面談ではおおまかな話をするにとどまった。シーズンが終わる夏に詳細な項目を提示してインタビューを実施する予定である。 スペインの独裁政権下の検閲についての本を出版するべく準備を進める。
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Causes of Carryover |
アイスランドのレイキャビクで開催された2022年度の国際演劇学会(International Federation for Theatre Research)への出席が叶わなかったため。2023年度もスペインに出張する予定であり、その出張費に残高を使用する。
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Research Products
(3 results)