2022 Fiscal Year Research-status Report
Japanese-American Artists and the Internationalization of Post-war Japanese Art
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20K00153
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
桑原 規子 聖徳大学, 文学部, 教授 (90364976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日系アメリカ人 / 日米美術交流 / 戦後日本美術 / 国際化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1945年から1960年代前半の約20年間に、在日・在米の日系アメリカ人美術家が芸術作品の制作とは別に、日本の美術家のためにいかなる活動を行っていたのかを明らかにし、彼らの支援が戦後日本美術の復興と国際化にどのように繋がったのかを解明することにある。そのため、令和4年度は以下のような資料収集・調査、研究発表を行った。 国内では、1950年代から1960年代初頭にかけて渡米した日本人美術家について集中的に調査研究を進めた。中でもニューヨークで活動した長谷川三郎の調査(2022年6月に長谷川三郎記念ギャラリー)、吉田遠志・穂高・千鶴子・ふじをの調査(ご遺族宅で2022年7月、8月の間に3回)を行うことにより、1950年代にニューヨークに渡った美術家たちの活動の実態が明らかとなった。また、小橋康秀については、ホノルル美術館学芸員の方のサポートにより、ホノルル在住のコレクターから貴重な情報を聞き取ることができた。このように、令和4年度は日系アメリカ人そのものについてではないが、その周辺で制作活動をしていた美術家の資料調査が進み、研究の幅が広がった。これらの調査研究を踏まえて、『論叢』に論文を発表した。 海外調査については、新型コロナウイルスの影響で中断されていた海外調査が可能となり、2023年3月にニューヨークとワシントンD.C.で資料調査を行うことができた。ニューヨークでは日系アメリカ人美術家内間安セイとその妻俊子のご遺族宅にて写真や書簡・日記など貴重な資料を調査し撮影、またワシントンD.C.のArchives of American ArtではInternational Graphic Art Societyと日本の美術家との関係資料を調査・撮影した。以上の調査により、1959年に帰米した内間安セイが日米の美術界を繋ぐ重要な役割を果たしていたことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に限っていえば、国内調査・海外調査ともにほぼ計画通りに実施することができた。特に予定していたニューヨーク、ワシントンD.C.での資料調査と収集ができたことで、研究は飛躍的に進展したといえる。また、新たな研究対象として、吉田遠志・穂高・千鶴子・ふじをが加わったことで、研究の幅も広がった。 ただし、当初予定していた日系アメリカ人の研究は、新型コロナウイルスの影響で3年間渡米ができなかったため、研究対象を絞り込まざるを得ず、全体から見るとやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進するに当たっては、以下の方策を考えている。 1.できれば2023年秋までにホノルル美術館所蔵の内間安セイ作品の調査、ハワイ大学所蔵のオリヴァー・スタットラー資料(特に内間安セイ関係)の調査を行う。 2.国内では吉田家所蔵資料の調査を引き続き行う。 3.2023年12月に予定されている聖徳大学言語文化学会総会で研究成果を口頭発表する。 4.これまでの調査を踏まえ、日米美術交流をテーマとする単著を執筆し出版する。できれば2024年3月までに刊行したい。
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Research Products
(2 results)