2023 Fiscal Year Research-status Report
メーイ『古代旋法論』の立体的全体像の提示:英語による全訳と注釈に向けて
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20K00157
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
津上 英輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (80197657)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Mei / De Modis / On the Modes |
Outline of Annual Research Achievements |
ジローラモ・メーイ(Girolamo Mei, 1519-1594)『古代旋法論(De modis)』(1567-73,全4巻)の世界初の全訳および注釈を作成し,出版に備えることが,本研究課題全体の目的であった.そのうち2023年度の研究は,前々年度中に完成した全4巻英訳第1稿を全面的に見直し,第2稿を作成することと,引き続き注釈を作成することとに充てられた.具体的には,第1稿において4つの巻ごとに試行錯誤しながら採用していた翻訳方針を統一すべく,第1巻と第2巻に続き,第3巻と第4巻の第2稿を作成した.その際,第1稿にはなかった章・節の区分および章題・小見出しを,全4巻に統一的に導入した.これにより,本書の構成が格段に見通しやすくなると思われる. 注釈としては,第3巻におけるGafurius, Glareanusの旋法論に関して,メーイの言表を彼らの原著に照らして検証する注釈を,また第4巻における古代旋法の「用」論に関しては,プラトーン,アリストテレースの旋法関係言説およびプルータルコス,アテーナイオスらの同関係証言とメーイの言表を検証し,必要に応じてメーイの思い違いを指摘する注釈を多数作成することができた.それらの注釈は再度Dr. Holford-Strevensの校閲を仰ぎ,出版に備えることができた. 他方,2023年度の研究において,論文「ボエーティウスはプトレマイオス旋法論を誤解していない(か?):メーイ『古代旋法論』第2巻への一注釈」(『成城文芸』264号)をまとめることができた.これは英語に訳されて,英訳書の巻末に補注(Appendix)として収録されるべきものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたとおり,英訳第2稿が完成し,注釈も全4巻にわたって,かなりの程度整備することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度に繰り越した研究費で,引き続き注釈の整備を進めたいと考えている.
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Causes of Carryover |
Dr. Leofranc Holford-Strevensへの謝金を一定額英ポンドで支払うために,円による実際の支払額につき,支払当日のポンド/円の為替相場の変動を見込む必要があったので,余裕を見込んだ結果です. 残額は2024年度の「その他」の費目で支出する予定です.
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