2020 Fiscal Year Research-status Report
伝統技術の言語化による継承可能性―ベトナム中部地域のゴング製作・調律の事例から
Project/Area Number |
20K00162
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
柳沢 英輔 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (00637134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 直樹 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 特任教授 (90136010)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゴング / ベトナム / 金属打楽器 / 調律 / 映像 / 伝統技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、新型コロナウイルスの世界的な流行により、当初予定していたベトナム中部沿岸部でのゴング製作に関するフィールド調査を行うことができなかった。したがって、研究代表者が過去にベトナムで撮影したmini-DVテープ50本の映像をデジタル化するなど、これまでの現地調査で記録した画像、映像、録音などの整理と分析を行った。本研究は、口頭で伝承されてきたために若い世代への技術継承が困難になっているゴング製作・調律という伝統的な知識やわざを、映像・音響メディアも駆使して言語化することを目的の一つとしている。優れた職人のわざを記録した画像、映像、音声などを統合したデジタルライブラリを構築し、現地で普及しているスマートフォン等を通して現地社会と共有できれば、若い世代の伝統技術の習得に役立てられると考える。また遠隔地に住む研究分担者や研究協力者とのデータの共有にも活用可能である。上記に関して、国立民族学博物館の公募プロジェクト「地域研究画像デジタルライブラリ」に採択されたため、現在、民博の技術的支援のもとその構築作業を進めている段階である。 また研究代表者が所有するベトナムのゴングセットを研究分担者の櫻井直樹氏が分析した結果、その材質が真鍮であることが明らかとなった、またその製作方法が打ち出し(冷間鍛造)であることが推測された。これは中部高原少数民族のバナ、ジャライの人々が使用するゴングセットの製作方法の解明に向けた重要な知見となった。以上より、ベトナムでのフィールドワークに向けた準備作業を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの世界的な流行により、当初予定していたベトナム中部沿岸部でのゴング製作に関するフィールド調査を行うことができなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行が終息し、フィールドワークが可能になり次第、ベトナム中部沿岸部および中部高原でゴング製作・調律に関する調査を行い、その方法の詳細を言語化し、技術継承における問題点を考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、令和2年度に予定してたベトナムでのフィールドワークを行うことができなくなり、その経費を次年度以降の旅費等に充てることにしたため。使用計画として、フィールドワークが可能になり次第、ベトナム中部地域でゴング製作・調律に関する調査を行う。技術的に優れた職人の作業工程の詳細を映像・録音メディアも併用して記録し、その方法を明らかにする。
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