2023 Fiscal Year Annual Research Report
伝統技術の言語化による継承可能性―ベトナム中部地域のゴング製作・調律の事例から
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20K00162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳沢 英輔 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (00637134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 直樹 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 特任教授 (90136010)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゴング / 伝統技術 / 言語化 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ベトナム中部高原でゴングの調律に関する追加調査と東洋音楽学会大会における成果発表等を行った。 1.卓越した技術をもつジャライ族のゴング調律師のゴング調律工程の詳細を映像・音声で記録し、調律の技術を修得するために参与観察を行った。またゴングの音や調律に関するジャライ語の語彙について聞き取り調査を行った。その結果、ゴングの調律は、ゴングの音の状態によって、「カドゥァル(音が良くない)」、「トゥトゥッ(音が動く)」、「ヒアップロダッ(良い音)」という3段階に分けられることが分かった。また調律師の語りに加えて、調律中のゴングの音響変化を分析した結果、ゴング調律師が「良い音」とする基準の一つが、「うなり」をなくす(音高を決める特定の部分音の突端の割れが一つになる)ことにある点等が明らかとなった。 2.東洋音楽学会第74回大会において「ベトナム中部高原におけるゴングの調律技術」と題する発表を行い、これまでの研究成果の一部を公表した。発表では、平ゴングとこぶ付きゴングそれぞれの調律箇所とその効果を図解し、調律箇所によってどのように音が変化するのかを音響パワースペクトルの変化を示しながら解説した。また調律師が個々の調律箇所をどのような順序でどのようにハンマーで叩くことによってゴングの調律を行っているのかについて具体的な例を挙げて説明した。 以上より、これまで秘技とされ外部者には理解することが非常に困難であったゴングの調律技術の言語化に向けて大きな成果を得ることができた。一方、当初予定していた現地での調律のワークショップは言語化の途上にあるため行うことができなかった。
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Research Products
(1 results)