2021 Fiscal Year Research-status Report
ルネサンス期ヴェネツィアの祭壇画制作における協働に関する研究
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20K00167
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 千佳 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (50400198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 祭壇画 / 祭壇枠組み / 共作 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究は、同時期の祭壇装飾全体の形成過程の中で、主題が最も効果的に鑑賞者に受容される礼拝空間がどのように創出されたのかを、当時の宗教的背景のもと画家と石工などの祭壇額縁職人、礼拝堂を建造した建築家の協働という包括的な視点から解明するものである。とくに15世紀後半から16世紀前半のヴェネツィアの祭壇画制作では、祭壇に設置された際の宗教性を高めるために、祭壇画以外の要素である祭壇枠組みやその他の付加的な構成物、礼拝堂建築との相互作用によって礼拝堂空間内での視覚的効果が追求された。また15世紀半ば以降は、ルネサンス様式の導入にともなう建築によるヴェネツィアの都市装飾の刷新が行われ、都市のアイデンティティが再確認された時期にあたる。このため祭壇画の本質である宗教的機能の創出がヴェネツィアの15世紀半ばのヴェネツィアをとりまく宗教的環境とどのように連関していたのかという点を明らかにする必要がある。またその際、額縁職人として祭壇装飾に携わった石枠組み職人や木枠組み職人、およびパネル製作の木工、他地方から移住した建築家たちに共有されていた祭壇画制作の慣例や手法とその実践との関わり方についての包括的視点にもとづいて考察を進めている。 (2)15世紀後半以降にヴェネツィアにおいて制作された祭壇画作品のうち、本年度は昨年度に引き続き、ヴェネツィアの都市称揚とかかわる聖母主題作品を中心に分析を行った。 とくに、礼拝図像が祭壇画として数多く制作されるようになる1470年代前後の諸作品のデータを収集するとともに、彫刻家との関わりを抽出することで祭壇画全体の制作過程を辿りうることを想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度末に予定していた海外での調査が、昨年度に引き続いて新型コロナウイルス流行にともなう海外渡航禁止措置によって中止せざるを得ず、次年度以降に実施することとしているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.現地調査 新型コロナウイルスの蔓延状況にもよるが、可能となった際には実地調査を行い、祭壇画の現在の設置状況や周辺部、細部も含め写真撮影によ り記録する。ヴェネツィアの聖堂を中心に、現在ヴェネト州をはじめとする周辺地域の美術館に所蔵されている祭壇画を中心に調査を実施する。 2.一次史料の調査および読解 事例研究と並行して、ヴェネツィア国立サン・マルコ図書館および市立図書館、国立古文書館において聖堂および石工組合や 工房に関する一次史料を精読し、あわせて画家組合との関り方についても分析を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた海外調査が、新型コロナウィルス蔓延にともなう海外渡航禁止措置により禁止せざるを得ず、次年度以降に持ち越すよう予定を変更したため、旅費として計上していた予算を繰り越すこととなった。また次年度以降、予定していた海外調査を行い、あわせて今年度行うことができなかったヴェネツィアおよびヴェネト地方での資料収集を実施、文献購入費を補完する。
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