2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the work analysis method from the viewpoint of restoration of media art works
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20K00176
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
森脇 裕之 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (30304182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 壽乃 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (00305814)
村上 史明 筑波大学, 芸術系, 助教 (30512884)
シャルル クリストフ 武蔵野美術大学, 造形構想学部, 教授 (50319224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メディアアート / デジタルアーカイブ / アート&テクノロジー / メディア技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
歴史的メディアアート作品の修復・復元作業のトライアルケースとして、山口勝弘作品「モレルの発明」(1991年制作)の修復・復元作業を実施した(助成:文化庁 令和2年度メディア芸術アーカイブ推進支援事業)。ビデオ彫刻作品における素材の復元と同時に、ハードウェアとコンテンツの両面にわたるメディア機器のデジタル移行について、調査検討し、作業成果とした。本研究の取組みの概要を、第21回環境芸術学会大会で「山口勝弘ビデオ彫刻作品復元についての報告」(2020年11月8日)口頭発表を行った。 メディアアート黎明期の貴重な資料となる名古屋国際ビエンナーレARTEC関連資料のデジタルアーカイブ作業を行うため、保管先である名古屋市美術館で、資料の現状を確認し当時の関係者、担当学芸員竹葉丈氏、副館長深谷克典氏、名古屋国際ビエンナーレARTEC統括ディレクター森茂樹氏、事務局小笠原弘美氏、土本順三氏との面談を行った。同美術館とは今後のアーカイブのための役割分担とスケジュールを取り決めたのち、本年度分のデジタルアーカイブ作業に着手した。ARTECが開催された1980年代後半から1990年代初頭をメディアアートの黎明期とし、ここで得られる資料をもとにして、世界各国で行われていたメディアアートの動向をとらえる年表作成に着手した。 令和2年度における研究成果の公表として「ビデオスペクタクル2021-山口勝弘ビデオ彫刻作品展示-」(多摩美術大学八王子キャンパス アートテークギャラリー101、2021年3月4日 - 6日)を開催した。展覧会開催中に、名古屋国際ビエンナーレARTEC統括ディレクター森茂樹氏をパネラーに迎え、1980年代後期から90年代前半の世界のメディアアートの動向を中心に黎明期のメディアアートを探る関連シンポジウム「メディアアートの源流 ARTECの時代」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍において研究出張予定の変更を余儀なくされたが、研究ミーティングはオンラインに切り替えるなど、研究計画進行への影響は最小限にとどめた。文化庁 令和2年度メディア芸術アーカイブ推進支援事業と連携する山口勝弘作品の修復作業対象は「モレルの発明」という規模の大きい作品だったが、欠損部分の補完や修復・復元作業を終えて、再現展示を終えることができた。 今年度の調査では名古屋国際ビエンナーレARTEC関連資料の総数が明らかになった。総量すべてをアーカイブ化するには膨大な作業量となるため、優先度を定め第1期(おもに展覧会の開催記録や記録映像資料)に相当するところを本研究内の目標とした。当時の作家個人資料を公開するにあたって権利承諾が必要になるが実質上困難とし、2期以降の資料は資料目録を整備することで美術館と合意した。
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Strategy for Future Research Activity |
①ARTEC関連資料アーカイブ作業を継続する。展覧会の開催記録や記録映像資料については、研究期間中にアーカイブ作業を完了し、集約検討作業に移行できるようにする。 ②修復作品展示と関連シンポジウムを開催する。本年度はビデオ彫刻作品「コラム」の修復・再展示を行う。将来的に数年継続している山口勝弘作品修復成果を集約した展覧会の企画に取り組む。 ③「空間から環境へ」展(1966年)に端を発して「環境芸術学会」設立(2001年)に至った山口勝弘の環境芸術について調査を始める。 ④研究目標となる科学と芸術の連関年表のフレームワークに着手し、最終年度のアート&テクノロジーの相関性への考察へと研究を進めてゆく。 本研究を基盤にして、メディアアートにおける科学技術の連関年表の作成から、アート&テクノロジーが成立する相関関係の研究に発展させる計画である。
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Causes of Carryover |
アーカイブ作業で一部準備が間に合わず、翌年度に行うことになった。使用額の残は翌年度分のアーカイブ作業のための人件費に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)