2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the work analysis method from the viewpoint of restoration of media art works
Project/Area Number |
20K00176
|
Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
森脇 裕之 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (30304182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 壽乃 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (00305814)
村上 史明 筑波大学, 芸術系, 助教 (30512884)
シャルル クリストフ 武蔵野美術大学, 造形構想学部, 教授 (50319224)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | メディアアート / メディア芸術 / アート&テクノロジー / 山口勝弘 / ビデオ彫刻 / デジタルアーカイブ / 名古屋子国際ビエンナーレ / パブリックアート |
Outline of Annual Research Achievements |
先駆的なメディアアート作品として、本年度は山口勝弘作品「コラム」(1988年制作)の修復・復元作業を実施した(助成:文化庁 令和3年度メディア芸術アーカイブ推進支援事業)。ビデオ彫刻作品におけるマテリアルの修復・復元と同時に、メディア機器と映像コンテンツの両面にわたるデジタル移行について、方法論の確立をめざして調査研究した。 山口勝弘のビデオ彫刻作品は、メディアアートの黎明期において、新しいメディアであるビデオが、美術といかに融合しようとしたか、その動きを知る上で重要な手がかりとなる。さらに「コラム」が発表された展覧会では、山口勝弘はビデオと建築の関係をテーマに掲げて、その後の主要な活動となる「映像都市空間」への提言であった。今日の都市空間に溢れる映像の原点がここにあったことを立証する論考をまとめた。 研究成果を「ビデオスペクタクル2022-山口勝弘ビデオ彫刻作品展示-」(横田茂ギャラリー、2022年1月31日- 2月4日)を開催した。展覧会開催中に、東京藝術大学名誉教授 伊藤隆道氏をパネラーに迎え「山口勝弘の環境芸術」というタイトルで、オンライン配信のトークショーを行った。伊藤隆道氏は、1960年代から山口勝弘と行動をともにしながら、今日のメディアアートの黎明期を作りあげてきた人物である。各時代における生の証言を得ることができた。 メディアアート黎明期に名古屋で開催された国際的なビエンナーレである「名古屋子国際ビエンナーレARTEC」関連資料のデジタルアーカイブ作業を、昨年度から引き続き行った。本研究の3カ年で、ARTEC資料の第1期分をすべてデジタルアーカイブ計画であるが、本年度はVTR資料のデジタルキャプチャがほとんど完了した。その他、スライド写真、紙焼き写真などのデジタルアーカイブも順調に作業を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの3年間で、文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業の助成を受けて、山口勝弘ビデオ彫刻作品の修復・復元作業が実現している。本年度も同事業に申請中で、先駆的メディアアート作品に関する検証と研究は着実に進めることができている。修復作業を通じて制作当時の技術レベルや制作の実状を、実作品から得ることができる機会を得ている。また、「名古屋子国際ビエンナーレARTEC」資料のアーカイブからも、1990年代開催当時の、国際的なメディアアート事情を浮かび上がらせることが出来る資料を得ている。今年度までの研究活動から、これらの知見をまとめるための要素となるデータを数多く取得できている。 「名古屋子国際ビエンナーレARTEC」関連資料のデジタルアーカイブ作業については、本研究の3カ年で、ARTEC資料の第1期分をすべてデジタルアーカイブする計画であるが、本年度はVTR資料のデジタルキャプチャがほとんど完了することができた。その他のスライド写真、紙焼き写真なども順調に作業が進んでいる。初年度の調査で明らかになったARTEC資料の総量から、優先度を定め第1期(おもに展覧会の開催記録や記録映像資料)に相当するところを、本研究内の達成目標としているが、本研究の3カ年内で目標値を達成できる見込みのところまで作業が進んできている。
|
Strategy for Future Research Activity |
①ARTEC関連資料アーカイブ作業を継続し、3カ年研究の目標とした第1期分の資料アーカイブを完了する。展覧会の開催記録や記録映像資料については、最終年度では、分担作業で行っていたアーカイブ作業を完了し、アーカイブデータを集約して「ARTEC資料リスト目録」を完成する。 ②文化庁令和4年度メディア芸術アーカイブ推進支援事業と連携して、修復作品の成果発表展示を開催する。本年度はビデオ彫刻作品「ザンピーニ」(1988年制作)の修復・再展示を行う。数年間継続してきた山口勝弘作品修復の成果を集約した展覧会の企画提案を美術館等に働きかける。 ③成果発表展示に関連して開催してきた関連シンポジウムの記録から、内容の要約集を編集する。 ④3カ年の研究とりまとめとして、得られた資料を元にした論考を小冊子として取りまとめて研究成果報告書とする。研究成果報告書は少部数印刷して、各方面に配付する予定。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた出張調査研究が遂行できなかった。状況も良くなってきているので、最終年度に行うか、その分の予算を、成果報告書のまとめに分配し直して、成果の充実を図るのか、協議中である。
|
Research Products
(1 results)