2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on Colour Printing in the Victorian Era Focusing on George Baxter
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20K00179
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
大森 弦史 東京工芸大学, 芸術学部, 准教授 (20633308)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジョージ・バクスター / ヴィクトリア朝 / イギリス美術 / 色彩版画 / カラー印刷 / 版画史 / 印刷史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も当初の計画にしたがって、(1)西洋の色彩版画技法に関する原典調査、(2)ジョージ・バクスター『万国博覧会の至宝』シリーズの考察、(3) 東京工芸大学所蔵・ヴィクトリア朝色彩版画コレクションのデジタル・データベース作成、の3点にを中心に研究を実施した。 (1)前年度から持ち越していたフレッド・シーリー『バクスター色彩版画の制作方法』(1924-25)の全文訳をおこなった。本テキストはバクスター法の技法的側面を詳細に解説した第一次資料であり、その学術的価値は高い。(2)『万国博覧会の至宝』シリーズがどのような経緯で制作されたかについて詳らかではないため、今年度は同時代資料の調査を引き続き進めるとともに、同一主題の木口木版(主に新聞挿絵)・リトグラフ・写真の収集に力を入れた。同シリーズとの図像上の比較を丹念に実施した結果、とくに万博委員会の指示のもと撮影された公式会場写真との類似性が認められることが分かってきたものの、現時点で見解を定めるに至っていない。より多角的な比較のため、さらなる作例収集が必要である。(3)データベースのための素材(高精度の作品図版および基礎データ)はおおむね整いつつある状況である。また個別の作品解説(日本語)についても200点あまりのうち、50%程度の執筆が終わった状態である。しかし技術上の問題から依然難航している。データベース専門家の助力を得つつ、2024年度末のウェブ公開を目標に鋭意進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)の色彩版画技法に関する原典調査については、2つの翻訳解題を刊行でき、目標をおおむね達成した。(2)のバクスター『万国博覧会の至宝』に関する考察、および(3)デジタル・データベース作成については、公開可能な成果には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
再延長の最終年度にあたる2024年度では、成果物として(3)デジタル・データベースの公開を最優先に進めていく。また(2)『万国博覧会の至宝』シリーズの考察の成果を年度内に論文としてまとめることとする。
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Causes of Carryover |
過去4年の旅費未使用分および資料購入用の物品費残額等が繰り越された。
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Research Products
(1 results)