2023 Fiscal Year Research-status Report
Re-examination of the wall paintings from the site of Fayaztepa, southern Uzbekistan
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20K00185
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
影山 悦子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20453144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中央アジア / クシャーン朝 / バクトリア / 仏教美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウズベキスタン南部に位置するファヤズテパ仏教遺跡から1970年前後に出土した壁画を研究対象とし、その制作年代および歴史的背景を明らかにすることを目的としている。 2023年10月と2024年2月にウズベキスタンに出張し、タシケントの国立歴史博物館とサマルカンドの考古学研究所において、ファヤズテパ遺跡から出土した壁画とそれに関連する考古遺物の調査を行った。2月には、ファヤズテパ遺跡およびその周辺の関連する遺跡(カラテパ仏教遺跡、ズルマラ仏塔遺跡、ザールテパ遺跡、バラリクテパ遺跡)の調査も行った。 10月には、サマルカンド考古学研究所の化学・技術・保存修復研究室長のマリーナ・レウトヴァ氏を招へいし、国際セミナー「ウズベキスタンの考古遺物の保存と公開に向けた取り組み」を名古屋大学において開催した。レウトヴァ氏はファヤズテパ遺跡出土壁画の保存修復について報告した。申請者はファヤズテパ遺跡の北方に位置する都城址であるザールテパ遺跡から出土したインド神話のガルーダの壁画について報告した。11月には中央アジア美術史を専門とする中国首都師範大学のマテオ・コンパレッティ氏を招へいし、講演会 "Simurgh or Farr? Research based on the literary and iconographic evidence" を名古屋大学において開催した。2024年1月にはインドネシアのスラバヤ大学にて開催された国際学会において、ファヤズテパ遺跡から出土した仏塔を表す壁画について発表を行った。 年間を通して、中央アジアの仏教美術に関する著作、論文の収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020・2021年度は海外に出張することができなかった。本研究課題の解明には、ウズベキスタンのサマルカンド考古学研究所が所蔵するファヤズテパ遺跡出土壁画や関連する遺物の実物調査が不可欠であり、2年間の遅れが生じた。2022年以降は現地調査を行い、遅れを取り戻すよう努力しているが、今なお当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
8月後半にウズベキスタンのサマルカンド考古学研究所に出張し、ファヤズテパ遺跡出土壁画および関連するザールテパ遺跡出土壁画の調査、撮影、記録を行う。サマルカンド考古学研究所と共同で、これまでの研究成果をまとめ、報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020・2021年度に海外調査をすることができなかった。二年間、海外出張を延期せざるを得なかったため、その分の旅費を2022年度・2023年度に繰り越したが、遅れを取り戻すことができなかった。そのため、2024年夏に最終の現地調査を行うことを計画している。次年度繰り越し分は、この現地調査の渡航費、滞在費として使用する。 出張中は、ウズベキスタンのサマルカンド考古学研究所にて、ファヤズテパ遺跡および関連するザールテパ遺跡から出土し、同研究所が所蔵する壁画断片の調査、撮影、記録を行う。また、サマルカンドおよびタシケントの博物館において関連する考古資料の調査を行う。
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