2020 Fiscal Year Research-status Report
伊藤若冲作品の画と賛―禅僧賛の読解・禅僧との交流を踏まえた作品と伝記の研究―
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20K00189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
門脇 むつみ 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00406779)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 賛 / 漢詩文 / 禅僧 / 18世紀上方文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では①若冲画賛の読解、②若冲に関わった禅僧に関する資料の探索、③若手研究者の漢詩文賛読解能力の養成を、主要な目的として掲げている。 ①、③については、研究会およびデータベースの作成により、ある程度の成果をあげることができた。研究会は2020年9月から2021年3月まで7回の禅文化および美術史研究者、院生をメンバーとし参加者全員が特定の作品を選び発表を担当するかたちで実施した。コロナウイルス感染症への対応として全てをオンライン・ミーティングで行った。この研究会7回を通じて14点の作品の賛を読解したが、その成果の蓄積により、単に賛を読み解くのみならず、若冲の画業の輪郭を新たにとらえなおす視座を得ることもできたと考えている。これについては門脇、大学院生共著による成果を21年度末に公表することを計画している。最終年度を目処に研究会メンバーを中心に成果をまとめることも検討した。また、データベース作成は大学院生のアルバイトとして行い、作品ごとに賛の翻刻、読み下し、印、掲載図書等の情報が備わったシートを作成中である。なお、初年度であるため、研究会およびデータベース作成、調査のためのPC、カメラを購入するとともに、書籍、特に禅学関係のそれを中心に整備を行った。 一方、コロナウイルス感染症への対応から、実作品の調査および②の資料探索にほとんど手が付けられず、わずかに2件の作品の調査を実施したのみである。ただし、当初より②については①をある程度すすめ、若冲にまつわる人間関係を整理、また研究会を通じて情報収集をした上ですすめる予定であったため大きな問題はないとみている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り、コロナウイルス感染症への対応から②については遅れているが、それ以外はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き月に一度の研究会を実施し賛の読解を蓄積し、それを通じて画と賛の関係、着賛者である禅僧との関係などを検討する。また、着賛作品のデータベース作成も継続する。加えて、今後は作品調査および資料探索を、コロナウイルス感染症の状況をみながらとはなるが、積極的に進める。申請時に予定していた海外での調査については状況の改善を待ちたいが、国内特に近畿圏での調査は先方の許可が得られる範囲で実施したい。また、成果の公表についていくつか計画を立てており、その実現に努めたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症により、当初予定していた調査がほとんどできなかったため、出張費にあてる予定であったものが次年度使用額として生じた。これらは、昨年度予定しており本年度実施予定である調査にあてる。
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