2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K00190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後小路 雅弘 九州大学, 人文科学研究院, 特任研究員 (50359931)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東南アジア / 近代美術 / ナショナル・アイデンティティ / ナショナリズム / モダニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の状況の中で、当初の計画通りに海外調査を進めることはできなかったが、その分、研究会を充実させ、5回の研究会を開催し、内外の研究者と議論を深めることができた。 最終年度にあたる本年度は、7月に民族藝術学会の例会担当理事として研究例会を開催、モデレーターを務め、本科研の研究テーマに関わる「東南アジア近代美術の対外表象とナショナル・アイデンティティ」というテーマで、内外の研究者と議論を深めた。後半には海外調査も可能となり、11月にシンガポールのナショナル・ギャラリーにおける「チュア・ミアティ展」を始めとする展覧会を調査し、関係者と議論することができた。またその調査をふまえ、1月にナショナル・ギャラリー・シンガポールの学芸員3名を招いて「コロキウム:東南アジアの美術にみる自己像と他者像」を開催し、シンガポールを始め東南アジア近代美術におけるナショナル・アイデンティティと美術との関係について議論を深めた。また、3月にはインドネシア4都市を訪問し、インドネシア近代美術におけるナショナル・アイデンティティの問題について、関連する作例を広く調査した。わたしは、1978年に初めてインドネシア他東南アジア諸国を調査したが、その調査の際にナショナル・アイデンティティと美術に関する問題意識を得た。今回は、実際の作例を調査すると同時に、1978年の自身の調査が持つ意味につぃて、当時会った関係者のうち現存している人物に可能な限り面談し、当時の文脈について話し合うことができた。 3年間で開催した4回のコロキウムを中心に、その記録を報告書の形にまとめ、海外調査の関連資料を付して、本年度末に刊行することで、一応の研究成果を公開することができた。東南アジアの近代美術が、ナショナル・アイデンティティと密接な関係の下に展開されたことを、様々な実例とともに示すことができた。
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Research Products
(7 results)