2020 Fiscal Year Research-status Report
京金工・大月光興の研究-「文人金工」像の確立のために
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20K00205
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
内藤 直子 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 係長 (70270725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩佐 伸一 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 主任学芸員 (70393288)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 刀装具 / 装剣金工 / 文人 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はコロナ禍により府外での調査活動が殆ど叶わない状況であった。そこで、所属先やその周辺地域で所蔵する図書・資料や、ウェブで得られる情報を中心に、できる限りの作業を行うことに徹した。 刀装具研究においては先行研究を踏襲しない原稿が乱立する状況が長く続いており、重複研究が繰り返されている実情がある。そこで、当該研究を推進する大前提として、刀装具研究に関する主要な先行研究の状況を整理する必要があると考え、コロナ禍でもできる作業として、この機会に刀装具全般に関する先行研究を悉皆的に調査することとした。具体的には、所属機関が所蔵する版本・図書ならびに近畿圏内の図書館等に所蔵される、刀装具研究と呼びうる古書・雑誌類を通覧し適宜複写を行い整理した。また、国立国会図書館の遠隔複写サービスも積極的に利用した。その結果、これまで稀覯本ゆえに目に触れることなく見過ごされてきた、重要な指摘を含む先行研究を複数確認することができた。 それらの発見の中には、刀装具に関連することながら本研究とは直接関連がないテーマも散見されたが、作業上これらを排除するメリットは少なく、むしろ刀装具の研究史をこの機会に総括することは当該ジャンルの研究上必要な作業であるという考えにいたり、本研究と無縁と思えることがらについても、刀装具研究の研究史整理のために必要と考えられる情報についてはこれを積極的に収集する方針にて集約作業を行った。 コロナ禍により思いがけず研究計画を変更せざるを得なかったことは研究の遂行上の障害ではあったが、逆に上記の発見を得ることができたことは、予想外の収穫であったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠方への調査活動はできていない現状であり、その点においては若干遅れているのは事実である。ただこの難事に際し、先行研究の調査に特化して進めたことにより、刀装具の先行研究についての新たな発見や問題意識が発生し、予想外の収穫もあった。それらを相殺し、おおむね順調と考える次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度もコロナによる移動制限は続くものと思われるため、前年度集約した先行研究の簡易まとめ(本まとめはすべての資料の閲覧後になる)を行う。また移動可能期間に速やかに調査が行えるよう、遠方での調査資料の依頼準備を進めておき、おそらく短期間しかないであろう移動可能期間を有効に活用して調査活動を行える準備を行うよう工夫したい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた遠方への旅費がコロナによる移動自粛のため一切使用できなかった分が残った。新年度においてもコロナ禍の状況は変わらないが、流行の波を早めに予測し、軽減している時期に効率的に出張を組み合わせて実行できるよう、昨年積み残しとなった調査先への出張を計画する。
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