2023 Fiscal Year Annual Research Report
バシェ音響彫刻の多面的活用のためのアーカイブと持続的保存方法の研究
Project/Area Number |
20K00211
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
三枝 一将 東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (60529949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐野 文良 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10334484)
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10582819)
古川 聖 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40323761)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 音響彫刻 / アーカイブ / 芸術資源の活用 / 3DCAD |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる2023年度に於いては、東京芸術大学北千住校地にてバシェ音響彫刻の講義と勝原フォーンによるコンサートを共催した(共催:東京芸術大学音楽環境創造科亀川研究室)。バシェの楽器としての音響構造と修復・活用についての講義と、勝原フォーンの演奏・触れる体験、という内容でコロナ明け3年ぶりにのリアルイベントであったが、実際の音の響きに多くの反響を集めた。勝原フォーンを活用して寺田倉庫で行われた1970大阪万博展覧会「Re:EDIT 702024」with Generative AIに協力した。また、残存部材の3DCADデータを完成させた。3Dデータは東京藝術大学未来創造継承センターと連携してアーカイブして、今後アクセス可能な状態にする。オリジナルの残存部材は万博記念公園のEXPO'70パビリオンの倉庫へと返却した。 本研究において全ての残存部材が再制作可能なデータとしてアーカイブされたことにより、新規修復、演奏による劣化部材の交換、複製制作への下地は整ったといえる。今後の音響彫刻の制作における研究においても重要な資料となる。オリジナル作品を今後どのように扱うかについては一つの答えを導き出すまでに至らなかったが、既修復作品については、組立て手順書や取扱いについての動画を作成したことにより、演奏による活用を行いつつもオリジナル作品が劣化するリスクを軽減することになった。作品の大きさ故の保存管理の困難さ、法的な問題など、様々なアプローチからの検討によりバシェ音響彫刻特有の真正性(オーセンティシティー)についての議論を深めることができたのは一定の成果といえる。
|