2022 Fiscal Year Research-status Report
Preserving the traditional technique of boiling shell for use in the ancient craft of Japanese lacquer.
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20K00229
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小川 太郎 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (50389962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 夜光貝 / 煮貝技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄県浦添市美術館にて、夜光貝の煮貝技法ではないかと思われる作品(過去の修復調査をもとに、全方面からの発色が見られる可能性のある作品を選出)を熟覧させていただいた。 プロセスが分からない過去の作品から素材の製造技法を選定するのは非常に難しい事がわかった。どの様なプロセスで作られたかは置いておいても、結構な大きさの貝が「割り」も入れずに貼ってあることに驚かされた。これらが煮貝技法で得た貝だと仮定すると、煮貝技法で生じてしまう素材の反りをどの様に平にし、器物に接着したのであろうか?膠での接着(熱を用い貝を圧着する)が容易に想像できるが、湿気が高く高温な沖縄では適した素材であると考えにくい部分もある。夜光貝の上に加飾として用いられた彫りについても貼られてから彫られたのか否かなど、実際のものを見ることによって新たな課題、疑問を得る事ができた。 また、中城にて夜光貝の煮貝技法の研究を進めて来られた宮城清さんを訪ね、お話を伺った。 貝を叩く頻度、方向、温度、使っている道具など、煮貝技法について様々聞かせていただいた。また、古文書などから見られる可能性についても伺う事ができた。これによって、今後より良い材料をどの様に作っていくか試行錯誤したい課題が見つかったので、今年度温度計測などもしながら再度、煮貝の制作を行なっていく。 夜光貝の漁獲量を調べに沖縄県漁業協同組合を訪れた。一昨年より那覇地区漁協が独立したとの事であった。現場の人の感覚では生息数が減ってきているといった実感は無いとの話であったが、夜光貝の取れ高のデータを頂けるよう話を進めている。那覇地区漁協さんからはデータをいただいている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
暴露試験に用いる材料を選定していたが、試験の前提となる材料では無かった。 日本工芸会に所属している作家から、以前煮貝技法で制作した作品の貝が白化現象を起こしたと聞いていたので、その材料を分けてもらったのだが、どうやら頂いた微塵貝が煮貝技法で作った貝ではない事が判明したため、実験が止まっている。 試験ていたを作成し、磨き上げた後明らかになったのだが、煮貝技法で作成した貝の特徴である全方向の発色が見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
夏に煮貝技法を用い、薄貝を作る。その際には温度計測などデータを取り、大きな貝のまま加飾材料として使う方法を検討する。電子顕微鏡での観察、暴露試験なども進めていく。 可能であれば、韓国にて螺鈿材料の製作環境の変化なども調査出来ればと考えている。
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Causes of Carryover |
実験が進められなかった事と、調査旅行に行けなかった事が原因となっている。 確保していた実験材料が、実験にはそぐわない事が判明し、試験の内容を検討している。 旅行はコロナが明けたので、今年は調査に出かける予定
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