2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後の日米映像メディアにおけるハワイ表象の基礎的研究
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20K00233
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
志村 三代子 日本大学, 芸術学部, 教授 (20409733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名嘉山 リサ 和光大学, 表現学部, 准教授 (80455188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハワイ / 日米関係 / 日系 / 日本映画 / 表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、占領期から、日本人の海外旅行が自由化される1964年までの映画/映像において、ハワイがどのように表象されてきたのか、さらにそのイメージが戦後の日米関係のなかでのどのように価値づけされてきたのかを分析することを目的とする。具体的には、美空ひばり、橋幸夫、舟木一夫といった当時の日本で大衆的な人気を博した歌手たちによるハワイでの興行記録と、『夜明けの二人』などのタイアップがうかがわれる映画において、日系人が彼らの興行や映画製作にどれだけ関与してきたのかについて、特にホノルルの日系人専用の映画館、劇場に関する当時の記録を調査することで、ハワイのガイドブックやテレビ番組の報道以前に構築されたハワイのイメージの起源を明確にすることである。 今年度は、コロナ禍による海外渡航の自粛が一部解除されたため、ハワイとロサンゼルスにおいて現地調査を行い、国際学会(International Conference on Arts&Humanities in Hawaii)で口頭発表を行った。具体的には、本格的にハワイにおける日系移民の歴史を取り扱った『山河あり』(1962年、松竹、松山善三監督)を取り上げ、これまでのハワイを舞台にした日本映画の歴史を概観した後、ハワイ報知を中心とした日系メディアの反応、ハワイロケの効果、撮影当時の日系人たちの全面協力によって、これまでのハワイを舞台とした観光的側面が強い日本映画との差異を分析することで、この作品が描いた日系人像の特徴とその限界を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年からのコロナ禍により、海外調査、特にハワイでの現地調査が不可能となり、未使用額が生じた。 2022年以降は、渡航制限が緩和されたため、ハワイ大学ハミルトン図書館、州立図書館、アーカイブなどで資料調査を実施した。最終年度にあたる2023年もハワイを中心とした資料館での調査を継続していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ハワイロケを扱った『勇者のみ』、松竹が初めて本格的な海外ロケを行った『ハワイの夜』、ハワイで活躍した映画人・木村宗雄と『東京キッド』との関わりについての論考を、分担者、研究協力者とともにパネルを組んでInternational Conference on Film Studies(ICFS)で発表し、それをまとめた論考をICFSの学会誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
フィールドワークが必須の研究であるにもかかわらず、2020年度から2年間、ハワイを中心とした海外出張に行くことができなったため。 2023年度の使用計画は、2023年3月にハワイのアーカイブで収集した資料をもとに、分担者の名嘉山リサ氏と共に国内学会と海外学会でそれぞれ発表する予定である。
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Research Products
(1 results)