2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦後の日米映像メディアにおけるハワイ表象の基礎的研究
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20K00233
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
志村 三代子 日本大学, 芸術学部, 教授 (20409733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名嘉山 リサ 和光大学, 表現学部, 准教授 (80455188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハワイ / 日米関係 / 日系人 / 日本映画 / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年では、1950年代から60年代に製作されたハワイを描いた日本映画の中でも、ハワイに移住した日系一世とその子供である二世が、日米開戦を機にどのような試練と変容を迫られ、それを日本映画が表象してきたのかに焦点を絞って考察を進めた。具体的には、『ハワイの夜』(1953年)と『山河あり』(1962年)を対象に、『ハワイ報知』を中心とした当時のメディアの報道を参照しながら主に日系一世と二世の関係に関する映像分析を行なった。補助事業期間全体を通しての成果としては、両映画における最も顕著な相違点が、移民一世とその子供達であり、アメリカの市民権を持つ二世との葛藤が『ハワイの夜』では示唆される程度であったのに対し、『山河あり』の場合は、明確に描かれており、彼らの対立がナラティブを駆動させる大きな要因となったことが確認できたことである。これらの分析と考察については以下の媒体で発表した。 ・招待講演「日本映画に現れたハワイ」おもちゃ映画ミュージアムで開催された同講演では、今日出海原作の『ハワイの夜』を、鶴田浩二と岸惠子主演の映画化した際に、ハワイ在住日系人による撮影協力、日系メディアの報道を詳細に検証し、同作品に対する日系人と日本人の反応の相違を紹介した。 ・国際学会(International Institute for Research in science and technology)発表 Images of Hawaii in Japanese Cinema on "What Did the Lady Forget?" and "Nights in Hawaii”同志社女子大・宮本明子氏との共同発表。日本映画におけるハワイのイメージについて、小津安二郎の『淑女は何を忘れたか』と『ハワイの夜』における異同点を紹介した。 ・作品解説『山河あり』日芸映画祭「移民とわたしたち」 作品の概要とともに、ハワイの日系人、特に一世と二世の葛藤を初めて本格的に描いた映画作品であることを紹介した。
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Research Products
(2 results)