2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00235
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石垣 尚志 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (50548013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ノルウェーの市営映画館 / 文化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な映画文化の普及と享受のための文化政策の内容と課題を明らかにすることを目的とする。映画政策に関する研究では映画製作支援のあり方が議論されてきたが、製作された映画が社会に提供され、人々がそれをどのように鑑賞(享受)するのかについては直接的に問われてこなかった。それに対して本研究では、製作・配給・上映のすべてを政策のなかに位置づけるノルウェーの映画政策と市営映画館を考察する。具体的には、ノルウェーの映画政策と映画産業の関係、自治体の映画館に関する政策と市営映画館、映画館以外の上映事業を考察して、配給・上映に関する映画政策の内容と課題を明らかにして、その可能性を検討する。2021年度は、以下の三つの作業に取り組んだ。 まず、昨年度までに行ってきた資料収集をまとめて、学術論文を作成した。映画館が文化政策のなかでどのように位置づけられているのかという視点から、日本の現状・課題を整理し、それを踏まえてノルウェーの文化政策と市営映画館の現状について考察したものである。つぎに、昨年度に引き続き、ヨーロッパとアジア諸国の文化政策・映画政策に関する学術的な研究の考察を行った。最後に、現地調査のための資料・情報収集を行った。ノルウェー主要都市の文化政策と市営映画館、ノルウェー映画産業に関する統計資料を収集して整理した。
研究実績(学術論文):石垣尚志、2022年3月、「文化政策と映画館:ノルウェーの映画・映画館政策と市営映画館を事例として」『東海大学紀要文化社会学部』第7号、pp.51-70。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文化政策に関する文献研究は順調に進んでおり、これまでの研究成果を学術論文として発表できた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により海外渡航が制限され、ノルウェーでの現地調査と資料収集が実施できていない。そのため研究計画の実施に影響が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き始めており、ノルウェー入国の制限は緩和されている。2022年度は過年度(2020年度・2021年度)に実施できなかったノルウェーの現地調査を行う。今後の状況が変化することも考慮に入れつつ、夏季長期休暇中に現地調査を行えるよう準備する。当面の研究活動としては、収集した資料・文献を整理しつつ、新たに資料・文献を入手して考察を進めていく。また、ノルウェー国内の研究者とノルウェー映画協会の担当者には電子メールを使って意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルス感染症の拡大により海外渡航が制限され、現地調査を実施できず、旅費の使用がなかったためである。新型コロナウイルス感染症をめぐる状況が改善されれば、現地調査と現地での資料収集を行う。
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