2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Mindfulness-based Training Program for Music Performance Anxiety
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20K00236
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大寺 雅子 日本大学, 芸術学部, 教授 (70581049)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 演奏不安 / パフォーマンス不安 / マインドフルネス / 音楽学生 / 芸術系学生 / 心理的スキルトレーニング / メンタルトレーニング / 混合研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は以下の5点である。 1) 2022年度後期に音楽学生を対象とした演奏不安のためのトレーニングプログラムをオンラインにて実施し、それと同時に介入研究も実施することができた。また、音楽学生を対象とした対面によるトレーニングプログラムを実施し、受講した学生の反応を確認することで対面によるプログラムの実施方法について検討した。これにより、2023年度に実施予定である対面による介入研究の準備をすることができた。 2)オンラインによるトレーニングプログラムの介入研究で実施したインタビュー調査の事例の1つを学生相談関連の研究会で発表した。発表の内容は、学生相談的な視点から音楽系学生の演奏不安の体験について考察を行ったものであった。音楽系学生とは接点を持たない一般大学の学生相談関係者に音楽系学生の事例を提示する機会となり、彼らとの意見交換を行うことで新たな視点を得ることができた。 3)演奏不安関連の文献レビューを行う過程において音楽系学生の心身の健康という新たな問題点が浮かび上がってきた。そこで、当該問題に関する論文を執筆し、学会誌の招待論文として投稿した(現在、校正作業待ち)。 4)これまでに使用したことがなかった演奏不安の尺度である「演奏前不安尺度」について検討するために芸術系学生を対象としたパイロット調査を行うことで、本尺度の使用方法や調査対象者の反応などを確認することができた。 5) 研究活動を進める中で、本研究で実施しているトレーニングプログラムの効果を促進する方法としてVRを活用する可能性を見出すに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行により、初年度から研究計画の見直しを余儀なくされていたことに加えて、対面による介入研究の計画を立てることが困難な状況が続いていた。オンラインによる介入研究は実施できたものの対面による介入研究が実施できていないため、当初見込んでいた研究成果が十分に得られていない。結果的に研究成果の発表においても遅れが生じることになった。研究期間を1年間延長することで対面による介入研究を実施できる見通しが立ったため、2023年度のうちに当初の研究計画を概ね完遂し、研究成果の発表を行うことを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長することで、当初計画していた対面による介入研究を完遂する予定である。2022年度に行ったオンラインでの介入研究と対面でのトレーニングプログラムに関する確認・検討作業をふまえて、2023年度の後半に対面での介入研究を実施する計画を立てている。なお、2023年度は研究最終年度となる予定であるため、介入研究を実施した結果をまとめ、学会発表や論文などを通じて研究成果の報告を行う。また、トレーニングプログラムの開発をさらに発展させる方法としてVRの活用について着目しており、その可能性を検討するためにパイロット研究を追加で実施することで新たな研究的展開につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、初年度から研究計画に遅れが生じていたことに加えて、当初予定していた海外渡航や学会への参加などができない状態が長く続いた。研究計画の見直しにおいては、研究活動の一部をオンラインによって代替することができたが、対面による研究活動に関しては予定を立てることが困難な状況が続いていたため流動的にならざるを得なかった。実施可能な研究作業については出来る限り実施していったが、研究や出張を行うための予算執行に全体的な遅れが生じる結果となった。2023年度からは感染症をめぐる社会的状況が改善し、研究をより遂行しやすくなるという見通しが立ったため、研究期間を1年間延長して研究を継続するという決断に至った。延長期間である2023年度においては、これまでの研究計画と研究成果発表における遅れを取り戻し、さらに研究計画を発展させて次の研究につなげるために、①トレーニングプログラム関連費用(研究協力者への謝金、プログラムの質を担保するためのスーパービジョンを受ける際の専門家への謝金、文献・消耗品購入費等)②学会参加費用(登録料、旅費交通費等)、③データ分析および論文作成関連費用(文字起こし・英文校正費、データ分析に関するコンサルテーションを受ける際の専門家への謝金等)④追加研究関連費用(研究協力者への謝金、VR機材の購入費等)のために未使用の予算を使用させて頂きたい。
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