2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K00241
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 智子 武庫川女子大学, 音楽学部, 教授 (80388800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 竜平 摂南大学, 理工学部, 教授 (90294199)
松本 佳久子 武庫川女子大学, 音楽学部, 教授 (90550765)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 音楽療法 / ICT / 楽器演奏 / 認知症予防 / 高齢者 / 音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では認知症に罹患する前の中高年への予防的取り組みとして楽器演奏に着目し、認知症予防を目指した音楽療法プログラムを構築する。健常者および軽度認知障害において予防効果があるというエビデンスが報告されていることから、初心者でも楽器演奏が可能であるICTを活用した電子楽器サイミスを導入して楽器演奏を中心とした音楽療法プログラムを実施し、認知機能の評価により予防効果を分析する。2022年度は演奏初心者であっても,開発した電子楽器サイミスで、経験者とほぼ同程度に時間的に正確にアンサンブル演奏が可能であることを示した。 2023年度は,有酸素運動により認知機能低下と認知症の危険率を下げることがWHOよりガイドラインとして発表されているため、このガイドラインを達成できるサイミス演奏システムを開発した。座位での足踏み運動による拍単位のサイミス演奏である。20歳代健常成人を対象とした実験により,有酸素運動での演奏が可能であることを示し,研究成果として国際誌Advanced Biomedical Engineering に掲載された。 また併行して認知機能の改善と認知症予防法の開発を目指した多分野介入によるプロジェクトにおける音楽活動の効果を調査し、16人の高齢参加者について介入前後を比較したところ、リズム活動や楽器演奏を含む音楽活動の前後で、エネルギー覚醒の上昇と緊張覚醒の低下が観察され、音楽活動が精神的な活性化を促した可能性があることが示された。これらの結果は日本音楽医療研究会学術大会にて研究成果として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知症リスクの低減のための身体活動のガイドラインが世界保健機構WHOより発表されており,このガイドラインを達成するための電子楽器サイミスの新しい演奏方法を提案し,その有用性を研究論文として示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はガイドライン達成を確認できるように心拍数計測を追加し,認知症予防を目的とした音楽療法プログラムを構築し、中高年も対象としたサイミス演奏システムを開発し,評価と効果検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響が残って,中高年者に対しての電子楽器サイミス適用のためのシステムの改変が必要となり,またデータ収集が延期されているため、人件費や謝礼の予算が執行されなかったことにより、使用額に差が生じた。
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Research Products
(3 results)