2021 Fiscal Year Research-status Report
ソヴィエト音楽生活の新たなコンテクスト化に向けて:ソヴィエト・オペラの暗黙知研究
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20K00257
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Research Institution | Kunitachi College of Music |
Principal Investigator |
中田 朱美 国立音楽大学, 音楽学部, 准教授 (10466964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソヴィエト・オペラ / 歌劇場 / 暗黙知 / ソヴィエト音楽 / ソ連 / 文化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は引きつづきコロナ禍、ならびに2022年2月24日以降のロシアによるウクライナ侵攻により情勢がきわめて不透明になったため、ロシア国内での資料調査がふたたび叶わぬ事態となった。当初、コロナの感染状況が落ちついてきた2022年春に、入国後の待機期間も勘案しながら訪露を二度計画していたが、3月上旬に対露制裁措置として外務省による危険レベルの引き上げ(ロシア国内全域をレベル3(中止勧告)に)が行われた状況も勘案し断念した。現在のところロシアでの資料調査については見通しが立っていない。 結果、昨年度に引き続き日本国内でできる作業として、ボリショイ劇場の上演状況データのさらなる精査、およびボリショイ劇場で10日間にわたり実施された「民族芸術旬間(デカーダ dekada)」の関連企画にかんする情報の精査を行っている。これにより「ソヴィエト・オペラ」という総括的概念の一側面を検証する。 2点目の作業として、サンクト・ペテルブルグ国立劇場図書館公式Webページをはじめ、近年、ソ連時代の新聞・雑誌の公開データが少しずつ充実してきているため、網羅的な調査とはゆかないものの、これらの週間公演案内から、現在のマリインスキー劇場とミハイロフスキー劇場のソ連時代の上演状況にかんする情報収集に着手した。今後、訪露調査が叶った際の一助となることを願う。 3点目の作業として、やはり月刊誌『音楽アカデミー』の公式Webページ上の公開データより、ソ連作曲家同盟機関誌であった月刊誌『ソヴィエト音楽』(1933~1991)における「ソヴィエト・オペラ」にかかわる言説検証を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要に記した通り、コロナウィルスとウクライナ侵攻による情勢悪化のため、昨年度に引き続き現地調査が実現していない。
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Strategy for Future Research Activity |
大変残念なことに当面の間、当初予定していたロシアでの上演状況調査を実施できない可能性が高い。この先、戦況および外交情勢が好転した暁には訪露が叶うことを期待しつつ、少なくとも現時点では、研究期間の延長も見越しながら国内でできる作業を進めてゆく。 またロシア以外の外国の研究機関で有意義な資料が見つかった場合には、そこでの資料収集も視野に入れていきたい。
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Causes of Carryover |
2021年度に2度予定していたロシア研究調査がコロナ禍とウクライナ侵攻による国際情勢の悪化により実現不可能となった為。
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